60歳までに貯めたい額を
具体的に設定する
また、貯蓄がなかなか増やせていない人は「あまった分だけとりあえず貯める」というパターンが多く、結局、「今月は貯められなかった」「先月は貯められたけれど、今月赤字で使ってしまった」といったことの繰り返しになっていることが多い。
これを脱するには、まず60歳までに貯めたい額を「1000万円」「2000万円」というように設定し、それを細かく年度ごと、そして毎月に落とし込んでいく。仕事のタスクをこなす感覚である。
「毎年いくらずつ貯めればいいか」
「それを毎月の収入とボーナスから貯めるとしたら、それぞれいくら貯蓄に回せばいいか」
を計算してみる。
あとは、給与やボーナスが振り込まれたら、その分を先取りして積み立て貯蓄に回してしまえばよい。
これも、「いくらずつ貯めたら10年後、20年後にいくらになるか」、先を想像することで手が打てるという一つの例だと言える。定年までの年数が短い場合は、目標貯蓄額が高いと、毎月の設定がどうしても無理めな金額になりがちだ。その場合は貯蓄だけでなく、支出にも目を向ける、また定年後も収入を得るため働くなど、トータルで考えるとよいだろう。
今まで挙げた事例は、すべて非常にシンプルな計算で答えがわかるものばかりだ。
「毎月○円を払ったら、支出額は10年間でどれくらいになるのか」
「この金額を貯め続けたら、○年後にはいくらになるか」
「○円のお金があって、×年間これで暮らしていくなら、毎年いくらまで使っていいのか」
繰り返しになるが、こういった簡単な計算すらしないままで、「なんとかなるだろう」と思っている人は非常に多い。「少し先を想像する」力がないと、計画的にお金を管理できず、いずれは行き詰まることになる可能性が高い。
“下流老人”への道に足を踏み入れてしまわないよう、「少し先を想像する力」を意識的に身につけ、家計管理のあらゆる面で実践していってほしい。
次回からは、40~50代が今から定年までにできることを提案していく。