リフォーム事業へのさらなるシフトを図るTOTO。競合他社のすさまじい追い上げのなか、勝算はあるのか。張本邦雄社長に聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)
TOTO 張本邦雄社長
Photo by Toshiaki Usami
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1998年にリモデル企画部長になった当時は、リモデルが事業の柱になるか疑問だった。前例がないなか試算してみると「やらなければまずい」とわかった。以来、データやノウハウをつくり続けてきたことが今の施策に役立っている。
国内住設事業は昨年、全売り上げの84%を占め、そのうちリモデル売り上げが67%を占める。新築住宅着工件数が80万戸を割ったが、当社はリモデル構成比が増えるほど利益が上がる。
顕在化したリモデル市場だけを狙っても新築市場と変わらない値引き競争に陥る。いかに需要を創造するかが肝心だ。ショールームから実際に購買に結び付いた率を取っており、キッチンが90%、風呂が75%、洗面台が50%、トイレが40%。高額商品になるほどこの率は上がる。だからショールームにカネをかけていい。
今夏の新商品はキッチンが目玉になる。3ブランドを統一し、ハイエンド機能をボリュームゾーンにも展開したことで客が好みに合わせてカスタマイズできる。
最近は廉価キッチンもずいぶん出回っているが、「水回りのTOTO」らしい新機能を訴求する。たとえば「水ほうき水栓」は節水・節約効果があるし、「すべり台シンク」は排水口をシンクの隅に寄せ、ゴミも水も流れやすくなった。当社が長年培ってきた排水をコントロールする技術が生かされている。