都心部での小型スーパー出店が相次いでいる。大きさは食品スーパーとコンビニエンスストアの中間くらい、生鮮や惣菜など食品主体の品揃えだ。スーパーが飽和状態のなか、数少ない拡大市場である都心マンション居住者のニーズを取り込む狙いだ。

 マルエツは、昨年6月に売り場50坪の「マルエツ プチ」1号店を出店。イオンは、2005年から試験的にコンビニの居抜き物件などで「まいばすけっと」を開業してきたが、昨年から大量出店に乗り出し、現在は東京南部~横浜・川崎エリアに140店を展開している。

 そして、イトーヨーカ堂がこの10月にも、東京・杉並区の駅前立地に280坪の小型スーパーを出店する。今後も東京23区内の銀行支店跡地などを中心に出店を加速する構えだ。

 だが、そもそも都心部がスーパー空白地帯だったのは、家賃の高さゆえ黒字化が困難だったため。郊外であれば、家賃(1ヵ月1坪)7000~1万円ですむところ、東京の中心部ともなれば1万2000円以上、高ければ2万円かかる。いかにコストを抑えられるかが、成否の分かれ目となる。

 このため、まいばすけっとは140全店が居抜き物件であり、マルエツは惣菜をセンターで加工して少量配送するインフラを整えている。

「この5年間、首都圏のコンビニ物件は家賃が上がり続けている」(コンビニ幹部)という状況下での小型スーパーの出店ラッシュ。物件的にはドラッグストアとも競合し、物件の奪い合いが過熱すれば家賃のさらなる上昇を招く懸念が出ている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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