提出データの不正を咎める規定がない!?
抜け穴だらけの型式指定制度は見直しを

 そして、一連の「不正」で焦点となった「惰行法」については、“使わなかったことは深く反省する。だが、他の手法を代用すれば、計測値のばらつきが減り、計測実施期間の短縮になりコスト削減になる。結果的に、計測値として惰行法との差は少ないことを理解してほしい”という趣旨の発言が、三菱自工とスズキ双方からあった。

 こうした「開き直り」とも取れるような言動が出る裏には、「型式指定制度」自体が抱える問題がある。

 筆者は、5月18日の国土交通省ブリーフィングの際、国土交通省に対して「惰行法を使用せず、(型式指定の)申請をした場合、それは違反なのか? また、それに対する罰則規定などはあるのか」と聞いた。

 これに対する回答は明確ではなく、「そうした規定は事実上ない」といったニュアンスに止まった。なぜなら、今回のような「惰行法に係る不正」を、そもそも想定していないからだ。5月2日、交通安全環境研究所・自動車試験場での「惰行法」デモンストレーションの際、主席自動車認証審査官が「これは信頼の問題だ」と、自動車メーカーと国との信頼関係を強調していたことを思い出す。

 また、5月18日の国土交通省のブリーフィングで、筆者とは別の質問に対して、次のようなコメントがあった。

 “型式指定制度では、各種車両で必要とされる試験データの合計は219。そのうち、今回の走行抵抗値を含めて13の試験データについて、自動車メーカー等が実施したデータをそのまま採用。同13の試験データは一部で重複するため、最終的に自動車メーカーから7つのデータの提出が必要”

 国土交通省によると、国連による自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が2014年3月に採択した、乗用車の燃費と排出ガスについて国際調和(WLTP:ワールドワイド・ハーモナイズド・ライト・ヴィークル・テスト・プロシージャ)を日本でも早期導入する方向で調整している。そのなかで、惰行法についても、世界統一が実施される予定だ。

 これを機に、型式指定制度の「あり方」についても、大きく見直すべきだと考える。

 その方向性について、国土交通省の「三菱自工・燃費不正事案に対するタスクフォース」が6月末にまとめる予定の報告書のなかで、しっかりと明記されることを期待したい。