うなずくSさんに副院長は言った。

「Sさんの病気は慢性過敏性肺炎のなかの鳥関連過敏性肺炎というものだと思います。鳩を室内で飼ったりすると起こる病気です。まれに羽毛布団でもなることがあります。その対象物から離れることで症状が軽減し、戻ると症状がでることでその病気かどうかの判断がつきます。まず室内で鳩を飼うことをやめてください。そして室内を一度きちんと掃除してください」

 Sさんはあれほど可愛がっていた鳩を、事情を話して友人に返した。そしてプロのクリーニング屋に掃除をしてもらい、カーペットもやめて、羽毛布団も処分した。そしてベランダの鳩の糞も全て洗い流した。Sさんは、退院後は寝室で妻と寝ることにした。鳩を手放したことは寂しいが、家族の健康には替えられない。入院したことで、家族と社員の健康の大切さを改めて痛感したSさんだった。

長引く咳は放置すると重症化
様々な過敏性肺炎と見分ける診察を

 慢性過敏性肺炎に詳しい呼吸器専門の池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は、以下のように語る。

「呼吸器専門医でもあまり知られていないのが、過敏性肺炎のなかの鳥関連過敏性肺炎という病気です。Sさんはもともと野鳩などの近くに暮らしながら、自室で鳩と過ごす時間が多くなったことで、肺炎を起こしたのだと思います。

 また、鳩だけでなくインコやオウムなどの鳥でも起こります。自宅周囲の鳩小屋、公園や神社の野鳥、鶏糞肥料などを原因に発症することもあります。入院しているときはおちついているのに部屋に戻るとまたひどくなってしまうということでこの病気かどうかがわかります。

 国内でも抗体検査できる病院は少ないので、もしその可能性がある場合は、過敏性肺炎の専門医に詳しく診てもらうことが重要です。また夏に肺炎を繰り返す夏型過敏性肺炎とも鑑別されなくてはいけません。

 長引く咳は放置せず医師にすぐ診てもらってください。知らずに肺炎や気管支炎にかかっていることがあり、放置すると重症化します。夏風邪と誤診されやすいものに、夏に繁殖するカビを吸入して発症する夏型過敏性肺炎があります。最近の住居環境の温暖化で、夏だけでなく、春および秋にも発症します。

 また例年になく百日咳が大人に流行しています。長引く咳の場合、喘息、咳喘息、百日咳だけでなく過敏性肺炎も鑑別する必要があります。これも専門医に相談ください」

(日本医学ジャーナリスト協会 医療ジャーナリスト 財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所 所長 市川純子)