ロボアドバイザーは
金融機関の営業マンより信頼できるか?

 ロボアドバイザーの先駆けである米国企業の評判をいくつか紹介しよう。まずは、その手軽さや手数料の安さに大きなメリットを感じている投資家が多い。特に、ITリテラシーが高く資産運用にも興味があるが、普段仕事で忙しい若者世代にとって、短時間でポートフォリオを計算し、簡単にETFを売買できるのは魅力的だ。

 加えて、米国では、フィンテックブームに乗り、昨今新しいロボアドバイザーサービスが次々に誕生している。当たり前の話だが、これらロボアドバイザーのアルゴリズムの質は、企業によって異なるため、どのサービスを利用するかによって、運用パフォーマンスは変わってきてしまう。

 だから、米国の投資家は、そのサービスの選択に頭を悩ませている。各企業のサービス内容や手数料、ポートフォリオを組むアルゴリズムを比較したサイトや特集記事も多い。

 ウォールストリートジャーナル(2015年12月14日)によると、米国のロボアドバイザーの市場規模は、10年以内に50~70倍になると言われている。メリット・デメリットを比較検討しながらも、米国の投資家は、ロボアドバイザーに熱い視線を送っているのだ。

 初めて資産運用にチャレンジする人や、退職金や相続でまとまったお金が入った人が、銀行や証券会社の営業員に投資の相談をすることは危険を伴う。

 彼らは、手数料が高い商品を勧めてきたり、頻繁にポートフォリを組み替えるようアドバイスしてきたりと、投資家にとって本当に有益な情報を提供してくれているとは限らない。金融機関の営業マンには頼みたくない、けれども客観的な意見を参考にしたい人にとって、ロボアドバイザーは使い勝手が良いだろう。

 一方で、ロボアドバイザーにも、利用上いくつか懸念すべき点がある。

 例えば、大手金融機関のロボアドバイザーサービスは、意図的に自分たちが売りたい商品をポートフォリオに組み込んでくる可能性がある。客観的なアドバイスと言いつつ、金融機関の営業マンと同様に、知らず知らずのうちに、手数料が高い商品を購入することにならないよう、商品内容の確認はしっかり行わなければならない。金融機関の隠れた戦略に乗せられないようにするには、自分自身の金融リテラシーを高めていくことが何より大切だ。

 また、いくら安いと言っても、ロボアドバイザーの利用には手数料がかかる。お金のデザインの「THEO」の場合、投資一任報酬は、3000万円超の預かり資産に対しては年率0.5%、3000万円以下の預かり資産に対して年率1%。ロボアドバイザーの手数料は、金融機関の営業員に比べると4分の1程度と格安だ。しかし、資産運用は、無駄な相談料を払わずに、自分の力で行うことが理想的。自分自身の金融リテラシーを高め、ネット証券等を利用することが最もローコストになることを覚えておこう。

 日本銀行調査統計局(15年12月)が発表した日本の家計の資産構成は、株・債券・投資信託への投資が16.6%、保険や年金準備金が26.4%で、現金や預金は52.7%。米国と比べると、日本はやはり貯蓄率が高く、資産運用を積極的に行っている家庭は少ない。

 しかし逆に、これらの預貯金を資産運用に向けることができれば、ロボアドバイザーには大きなビジネスチャンスがあるということになる。より効率的なサービスを作る、アルゴリズムの質を向上させ運用パフォーマンスを上げるなど、ロボアドバイザーにも多くの課題があるが、少額投資非課税制度NISAの導入など、国を挙げて「貯蓄から投資へ」の流れ作りが進められている中、ロボアドバイザーは投資家の新しいツールとなる可能性がある。

 変化が激しいフィンテック業界において、金融機関の営業員とは異なるプレゼンスを発揮するロボアドバイザーの動向に、引き続き注目したい。

(下中英恵 & 岡 徳之5時から作家塾(R)