人手不足解消のために編み出した
ハワイアンズ流女性活用術

 福島ではいまだ震災復興に人手がかかっていて、当社でも人手不足が続いています。お客様とのヒューマンタッチの質は絶対に落としてはいけないので、人手不足は大問題。ここでも今ある資源を活用して乗り切ることを考えました。業務効率化と、まだ力を発揮しきれていない女性やOB、OGの活用です。

 業務効率化は、「業務改革室」を設置して仕事の流れを見直してもらいました。この中で一番の好事例が、チェックインの時間変更です。東京からのバスは13時にホテルに到着しますが、チェックアウトからの清掃時間の関係で、チェックインは13時半でした。

 その間、お客様をお待たせするのを何とかできないかと考え、業務改革室と清掃現場の人たちに作業を洗い出して改善するよう指示しました。結果、チェックアウト後に洗って部屋に戻していた茶櫃を2セットにして時間を短縮するなど、さまざまな知恵が出てチェックインを30分早めることに成功しました。この事例は、みんなの前で大いにほめましたね。

 また、女性の活用も重要でした。当社は炭鉱が前身で、その文化が根付いています。苦しいときに助け合う「一山一家(ひとつの山はひとつの家族)」の精神は素晴らしいですが、女性が前に出てはいけないという点については、時代に合わない。

 たとえば、商品開発などは、実際に買い物が好きな女性のほうが得意でしょうし、何より能力を眠らせておくのはもったいない。そこでまず、女性の管理職を10人誕生させました。さらに、富士銀行で初の女性支店長などを歴任した後、みずほ総合研究所に転籍していた渡辺淳子を執行役員として招き入れました。

 当社の男性は女性管理職に仕えたことがない。最初は戸惑って、「新しい社長はいったい何をするのか」という感じでした。女性たちにも、「前に出ていいのか」という雰囲気がありました。渡辺は銀行という男性社会で戦ってきた経験があるから、女性管理職の気持ちがよくわかる。彼女たちの相談相手となり、経営面でもリーダーシップを発揮しています。

 最近は会議でも、女性が気負わずに発言します。時には男性陣がタジタジになるくらい(笑)。会議の風景が、がらっと変わりましたね。

 フラガールのOGを活用し始めたのも、良い効果を生んでいます。現役を引退したら、大概は家庭に入って戻ってこなかったOGたちにショーの受付などをお願いしてみたら、笑顔はいいし内容をよく把握しているから適切なご案内もできる。お客様にも好評でチケットの売り上げも上がるので、一石二鳥です。

 私はスパリゾートハワイアンズの経営に携わるようになって、この会社だけでなく、福島県、そしていわきという場所に大きなポテンシャルを感じるようになりました。東日本大震災と放射能問題という悲劇をバネに、この地では今、風力発電の実証実験や、石炭火力の高効率化を目指した発電システムの開発が進んでいます。原発の廃炉に関する研究も、今後ますます進められていくでしょう。

 環境へのダメージが少ないエネルギーをどう開発するかは、世界中に共通する課題です。ここで今行われている研究開発が実を結んでいけば、いわきは世界中から注目される場所になるでしょう。常磐興産グループはリゾート施設のほか、資源、ものづくり、ゼネコンも持っている。この土地と世界をいろんな形でつないでいける企業になれるのではないかと期待しています。

 そんな未来の大きな可能性に挑むためにも、この会社に近代経営を根付かせて、強い企業体を作っておかねばなりません。それが、「次の50年」に向けた私の使命だと思っています。(談)