ツイッター(Twitter)は、世に出るや否やあっという間に認知された。しかし世界レベルで見れば、個人が積極的に「つぶやく」ことはそれほど多くないようだ。
米国では8割の利用者が1日に1回もつぶやいていないというし、日本も同様で実際には1割もつぶやいていないという調査結果もある。
しかし、他人が何かをつぶやくことに対しては興味が集まり易いため、ツイッターをマーケティングに活用しようと考える企業は、率先してつぶやきを続けている。企業が宣伝広告を出し、そのまま感想をつぶやけるようにする手法は、今では当たり前になってきている。
とは言うものの、一般のユーザーは企業と関係なく、自らがより楽しめる方法を考えるものだ。
そこで今回、ツイッターに楽しく参加するための「新しいツール」を3つご紹介する。
まず、1つめは「圧縮新聞」である。ウェブ上にある新聞社などのニュース文章を細かく分解し、「マルコフ連鎖」という仕組みを用いて新しい文章を作成するというものだ。
リロードする度に記事が更新され、いつも同じ記事にはなっていないので、正確なニュース記事としては読めない。いわゆる「つぎはぎ記事」(?)ができ上がるため、ユーザーにはジョーク的新聞として受け入れられている。真面目に捉えすぎずに単純に楽しむには、面白い。
2つめは「twitmaker」だ。これは、好き勝手な占いや診断プログラムを簡単に作ることができる。最初のうちは、既存のプログラムを使って楽しむのがよいだろう(基本的に自分のツイッターIDを入力するだけで判定をしてくれる)。すでにアップされているものをいくつかご紹介する。
「T-ウィルス感染度測定機」では、あなたが「バイオハザード」シリーズのT-ウィルスにどれくらい感染しているかを、バーチャル測定することができる。筆者の場合、「あなたの感染度は0%です」と表示された。
「キャラクッター」は、あなたをアニメのキャラクターに例える診断だ。試しに診断した結果は、「アニメのキャラクターに例えるとボヤッキー(アニメ『ヤッターマン』に登場する悪役トリオの1人)だよイイね」であった。案外、当たっている気がして驚いた……。
3つめは「星野しずる」だが、これはできの良さから言えば、今回ご紹介した中ではとび抜けて面白い。
これは、佐々木あらら氏が「犬猿短歌」(いぬざるたんか)という特殊な短歌をつくる女の子としてウェブ上に誕生させたのが、きっかけだ。佐々木あらら氏は、「枡野浩一のかんたん短歌blog」で第7回枡野浩一短歌賞も受賞している。
佐々木あらら氏の代表作を挙げてみる。
「雷が鳴る ゆっくりと君がいく僕もいく また雷が鳴る」「庭先でゆっくり死んでゆくシロがちょっと笑った夏休みです」「外に出すのが愛なのか 中で出すのが愛なのか 迷って出した」
以下は、「星野しずる」で作成した短歌である。
「やわらかな少年だった鉄塔でさえもつめたいかなしみのまま」「夕暮れの花を数えて人々は静かな風をなくしてしまう」「ほんとうの人それぞれの日々ですね 流行り言葉をおぼえていよう」
「星野しずる」の現在の語彙数は550個(名詞部250個、修飾部150個、述部150個)、構文数は20種類あり、これらの単語をランダムに組み合わせるというロジックで短歌を作っている。
そのため1度作った短歌が二度出現する可能性は極めて低く、ときには目を見張るでき映えの作品が誕生する場合もある。気に入った作品はそのままツイッターでつぶやいておくなり保存しておくなりすることを、お薦めする。
今回ご紹介した3つのツールは、いずれもそのままツィッターに投稿することが可能になっている。どのような形であれ、他人の「つぶやき」だけを眺めているばかりではなく、こういった手法も活用しながらツイッターを楽しんでみてはいかがだろうか。
(木村明夫)