ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』)、ティム・ブラウン(IDEO社長兼CEO)、アダム・グラント(『GIVE & TAKE』)絶賛!さらに、NYタイムズ、ブルームバーグ・ビジネスウィーク、パブリッシャーズ・ウィークリー他、全米各紙誌で絶賛された世界的ベストセラー『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』
グーグル、IDEO、ネットフリックス、パタゴニアなど、世界で最も革新的な企業で次々と爆発的な発想を生み続けている「驚愕の思考法」とは?
本連載では、「たった1行の問い」から「非凡な思考」を次々と生んでいく画期的な方法について、書籍『Q思考』から紹介していきます。

一流のリーダーは、共通して「質問」が多い

出世のスピードは質問の多さに比例する

 私はプロのジャーナリストとして、これまでいつもだれかに、何かを問い続けてきた。けれども数年前までは、質問の技術、あるいはコツについて真剣に考えたことなどなかった。人がイノベーションを起こし、問題を解決し、仕事や生活を進めるうえで「疑問を抱くこと」、あるいは「質問をすること」がいかに重要な役割を果たしているか、なんてことにはまったく気がついていなかった。

 それが変わったのは、デザイナーや発明家、エンジニアがどのようにアイデアを思いついたり問題を解決したりするかについて記事を書き、一冊の本にまとめたときのことだ。

 取材の過程で、世界トップクラスのイノベーターや創造性に富む人たちの話を聞いたのだが、彼らが課題に取り組む方法には、成功のための魔法の公式も、「これしかない」というたった一つの説明もなかった。

 ところが、世の中のルールを変えるほどの偉業を成し遂げた人たちの共通点を探っているうちに、彼らの多くが、疑問を抱き、質問をすることが抜群にうまいということに気がついたのだ。

アイデアはつねに「疑問」から生まれる

「画期的なイノベーションを実現する」「世間の注目を浴びるような新興企業を立ち上げる」「難攻不落の難問に対する革新的な解決方法を発見する」といった偉業は、一つの疑問(または一連の疑問)とその答えが出発点となっているのではないか、と思えてきた。この思いつきにはかなり惹かれたものの、その本の主要テーマではなかったので、とりあえず忘れることにした。

 しかしそれ以来、自分が目にする何もかもが疑問や質問を出発点としているように思えてきた。

 ビジネスの世界では、たとえば私はハーバード・ビジネス・レビュー誌やファスト・カンパニー誌向けに経営者のインタビューをしていたのだが、彼らの「疑問」への関心がいかに高いかがわかってきた。疑問とイノベーションのあいだには一定のつながりがあることに多くのビジネスパーソンが気づいているようだった。私がインタビューした人たちは、偉大な製品、偉大な企業、そして偉大な産業でさえ、多くの場合、一つの疑問が出発点となっていると考えているようだった。

 グーグルが、会長が言うように「疑問のうえを走り続けている」企業であることはよく知られている。スティーブ・ジョブズやアマゾンのジェフ・ベゾスも、あらゆることに疑問をぶつけて成功の階段を上っていった。

 ところが、いざこのテーマを追い始めてみると、本当の意味で「問うこと」を促している企業など実際にはほとんどないことがわかってきた。疑問や質問を専門に取り扱う部門も教育プログラムもなければ、問うことに関する方針も、指針も、ベスト・プラクティスも存在しない。

 それどころか多くの企業は、(意識しているかどうかは別として)「なぜ我々はこれをこのやり方でやるのか?」といった疑問を抱くことを社員にできるだけ控えさせるような文化をつくりあげている。