『ゆいまーる動物病院』(川崎市)の小泉和彦院長は分析する。

ゆいまーる動物病院(川崎市)の小泉和彦院長と愛猫。「ノラ猫の乳飲み子を引き取ったら、こんなに大きくなりました」

 昔の犬猫の食事といえば、残ったご飯に味噌汁と魚の骨や煮干などをかけた残飯が定番。番犬として玄関先につながれる外飼が普通。フィラリア等の予防接種も普及していなかった。30~40年前の犬たちで、10歳以上はめずらしく、7~8歳でも長生きの部類に入っていたという。

 飼い主にとって、愛するペットの長生きは、願ったり叶ったりと思われがちだが、実はリスクでもあると認識している人は少ないのではないだろうか。

 人間の場合、生命保険業界では、ずいぶん前から「長生きはリスク」という言い方が広まっている。健康で、経済的にも心配がなければ、長生きは「長寿」だが、寝たきりや認知症による要介護生活や、「老後破産」のような貧困生活が待ち受けているとしたら、長生きはまさに「リスク」そのものになってしまう。

 犬猫の場合も、飼い主にとって長生きはリスクになる。

 がんや心臓病のような、高額な医療費を必要とする病気のリスクが高まるのはもとより、寝たきりになれば、排泄の介助や床ずれを起こさないよう数時間おきに身体の向きを変えてあげる等の介護が必要になる。ペットだけ家に残しての外出も、長時間は難しくなってしまうだろう。

最大の困りごとは認知症
かかりやすい犬種は柴犬

数ある犬種の中でも、柴犬はなぜか認知症になりやすい (写真提供:日本動物福祉互助会)
井本動物病院(横浜市)の井本史夫院長

 なかでも、最大の困りごとが、認知症だ。

 長年に渡り、「犬・猫の認知障害症候群」について研究している『井本動物病院』(横浜市)の井本史夫院長は次のように語る。

「犬も猫も、認知症になりますよ。人間のアルツハイマー病と一緒で、特有のタンパクが溜まることが確認されている。犬種では、柴犬が、認知症になりやすいことがわかっています。ただ、正確な診断や治療法の研究はあまり進んでいません。CTやMRIを撮るには麻酔をかけなければなりませんが、高齢の場合、全身麻酔は命取りになる危険性がある。また研究用に、亡くなったペットを解剖させてほしいとお願いしても、なかなか了承してくれる飼い主さんはいませんよね」

■こんな症状が気になりだしたら、獣医師に相談しよう!!

□夜中中吠える、鳴く。
□後ずさりできない。同じ場所をぐるぐる回る。
□室内や散歩の際に、方向感覚を失うことがある。
□食欲が異常に増える。
□飼い主を認識できない。飼い主が呼んでも反応しなくなり、甘えなくなる。
□昼夜が逆転してしまっている。
□狭い場所を通りぬけようとして、ひっかかる。
□尿・糞便を失禁してしまう。
□寝ている時間が増えたり、ぼーっとしている。