現在ソニー損保はドライブカウンタに通信機能は持たせていないが、短期的には専用機器はスマホやカーナビに代替される可能性もある。機器の追加コストが発生しないという意味で、現時点での本命はスマホである。プログレッシブ社でも、スマホを用いた実験を終えている。
スマホが計測機器のデファクト・スタンダードとなれば、デバイスに関わる投資が要らなくなることから、それを機に参入企業は増える可能性も高い。中期的にはビッグデータが安いコストでとれるようになり、それと事故などとの関係が明らかになるにつれ、保険料を決める要因が年齢などの顧客属性や等級だけでよいかという議論が高まってこよう。
さらに長期的には、自動車の自動運転が普及した場合、自動車保険のあり方自体が根本的に問い直される可能性もある。やさしい運転キャッシュバックは、「運転技能に差があるから成功するモデル」であり、自動運転などでドライバーの運転技能が関係なくなってくると、その特長が生きなくなってくる。将来、自動運転が当り前になった場合には、そもそも自動車保険というものがどんな形で存在し続けるかが、問われてくるであろう。
今後はスマホが主流に?
技術予測に落とし穴はないか
短期的に測定デバイスはスマホに代替され、それを機に新規参入が増えると言われているが、テレマティクス保険のデバイスとして、本当にスマホが主流になるであろうか。確かに、スマホは多くの人が所有しており、新デバイスへの投資は要らない。しかし、そもそもスマホはドライバーが車を降りるときには一緒に持って行くものだ。車に乗る度に所定の場に設置したり、車のキー以外のものを乗り降りの都度、いちいち設定し直したりするものだろうか。万一ダッシュボードの上にスマホを置き忘れたら、夏季には熱でスマホが故障する危険もある。
以前、複数の機能を1つの機器で実現しようという目的で、ファミコン内臓テレビや電話付きミニコンポなどが発売された。しかし、使用状況における機能のバッティングなどがあり、これらの商品は早々に姿を消した。
スマホは、デジカメ、時計、電子手帳、電卓などの機能を取り込んで成長してきたが、それはユーザーから見て、お互いの使い勝手を損なわないものであったからである。果たして自動車に乗る際に、キーやカーナビに加え、新たな操作が増えることが、どこまで受け入れられるであろうか。
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◆外部から見ると同じようなビジネスモデルなのに、
なぜ儲かる会社と儲からない会社があるのでしょうか?
見えにくいところに、ビジネスモデルのツボがある――新刊『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』の冒頭に書かれたこの一文に重要なヒントがあります。新しいビジネスモデルの企業が一時注目を集めても、あっという間に廃れてしまうことも珍しくありません。なぜ、そうなってしまうのか? それはそのビジネスモデルに、持続的優位性がなくなるからです。新しいビジネスモデルが失速する最大の要因は、社内のコスト構造、レガシー企業の報復、同じビジネスモデルの乱立です。面白いビジネスモデルでも、なかなか利益が出ない理由は、ここにあります。では、本当に強いビジネスモデルにはどんなルールがあるのでしょうか?
◆競争優位の真の要因を、数多くの事例から説き明かす
○エプソンは、なぜ成功パターンを自ら否定したのか?
○セブン銀行ATMの紙幣の補充は、なぜ月1回ですむのか?
○ソニー損保、成田空港、三菱電機、リクルート、リバイバルドラッグ、ソラコム、ランドスケイプ、カーブス……
【著者紹介】山田英夫(やまだ・ひでお) 早稲田大学ビジネススクール教授。「ユニークなビジネスモデル」を見つけ出す目、その語り口に大変高い評価がある。1955年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了後、(株)三菱総合研究所入社。大企業のコンサルティングに従事。89年早大に移籍。専門は競争戦略、ビジネスモデル。学術博士(早大)。ふくおかフィナンシャルグループ、サントリーホールディングス社外監査役。著書に『デファクト・スタンダードの競争戦略:第2版』(白桃書房)、『逆転の競争戦略:第4版』(生産性出版)、『異業種に学ぶビジネスモデル』『競争しない競争戦略』『ビジネス版 悪魔の辞典』(日本経済新聞出版社)他、多数。
【目次】
はじめに 見えにくいところに、ビジネスモデルのツボがある
序章 利益が出ないなら、ビジネスモデル自体を変えよう
1 エプソンは、なぜジレットモデルを捨てたのか/2 創造的破壊への挑戦
第1章 なぜ見えないビジネスモデルか
1 エプソンのケースが教えてくれること/2 ビジネスモデル探究の系譜/3 見えるところはすぐに同質化される
第2章 見えないビジネスモデルを読み解く
1 大企業のビジネスモデル/2 セブン銀行/3 ソニー損害保険/4 成田空港/5 三菱電機/6 リクルート/7 ベンチャー・中堅企業のビジネスモデル/8 リバイバルドラッグ/9 ソラコム/10 ランドスケイプ/11 カーブス/12 業界構造への挑戦中のビジネスモデル/13 ソニー不動産/14 ライフネット生命
第3章 真実は見えないビジネスモデルにある
1 見えないビジネスモデルの優位性
2 持続的なコスト構造
3 低コスト構造構築への新しい視点
4 持続的な競争構造
第4章 ビジネスモデル構築と運用のポイント
1 ビジネスモデル作りはOS作りと似ている
2 改善型アプローチにはなじまない
3 社外資源の活用――新しい酒は新しい革袋に
4 カニバリゼーションを克服する
5 ビジネスモデルのオープンとクローズ
6 ビジネスモデルは静止画ではなく動画
7 大手の「虎の尾」を踏まない
8 やせ我慢と現実とのトレードオフ
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