「ワンピース」や「進撃の巨人」と組み
新たな顧客を獲得

 世界的な日用品メーカー、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)でマーケターとして修業を積んだ森岡は、ヘッドハンティングされて10年6月にユー・エス・ジェイへ足を踏み入れた。

 当時の会社は、“止血”こそできたものの完全復活には程遠い状況。しかし、自分で描いた戦略を実行できる活躍の場を求めていた森岡にとって、力を存分に振るえる場所だと感じた。

 入社が決まるや否や、森岡の脳内で「確率思考」が一気にフル回転。「成功確率が高いアイデアを成功確率が高い順番で繰り出す」ことを意識し、V字回復のための大戦略を練りだした。

 森岡が考える経営資源の配分先は「プレファレンス」「認知率」「配荷率」に集約されるという。

 プレファレンスとは、主にブランドが持つ資産価値と価格、製品パフォーマンスによって決まる、ブランドに対する消費者の相対的な好みのこと。消費者の購買行動はこれに基づき、ブランドの最大ポテンシャルを決定するため、森岡は最重要視している。

 その足かせとなるのが、他の二つの要因だ。ブランドを知っているか、優先的に思い浮かぶかを示す認知率と、商品を買いたいときに何パーセントの消費者が買える状態にあるかを示す配荷率だ。

 そして、「自社ブランドが選ばれる確率」の正体、プレファレンスを導き出す数式を森岡は駆使する。詳細は割愛するが、専門的な確率分布の式で計算できるという。

 USJの再建を託された森岡は、入社直後からV字回復のための戦略を二段構えで構想していた。一つは、ハリー・ポッターという“特大ロケット”だ。しかし、大きな問題があった。再建途上で資金不足の状況において、450億円もの投資資金を捻出しなくてはならなかったのだ。

 そこで、プレファレンス向上に即効性がある“小型ロケット”を幾つも打ち上げる作戦に出た。