なぜ、ゼロをしっかり教えなくなったのか?

久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

 学習指導要領の解説には、ゼロについての記載はありません。

 その結果、計算は、ゼロを省いた自然数の計算だけを教えることが多くなっているのではないでしょうか。

 そこで、私は、仮説を立てました。

 現在では、「整数」という数学用語を使っていますが、算数教育を始めた明治の頃には、「ゼロの概念」を理解するように教えていたのではないだろうか? と。

 戦後、日本の算数の教科書がつくられましたが、何らかの理由があったために、どこかで「ゼロの概念」を教えるのをやめたのではないかと、私は推測しています。

 そこで、私は、「ゼロを教えなければならないのに、教えなかった謎」を解かねばならないと思い、「義務教育における『ゼロの概念』脱落仮説」を裏づける証拠を集めてみました。

『お経式暗算法』ミラクルシートの効果

 小学1年生で習う「ひとケタ」の数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9なので、最新刊の『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣では、たし算は「0+0」から始めています。

 ひき算は「0-0」で終わるようにしたほうが暗算はわかりやすく、覚えやすくなり、「ゼロの概念」も早く理解できるようになります。
 ということで、「お風呂で唱えるだけで算数力がアップ!『お経式暗算法』ミラクルシート」を初めてつくったので、ぜひお風呂の壁に貼りながら、親子でお経のように唱えてみてほしいのです。

 これにより、前頭前野がきたえられ、算数・数学の能力を高めることができます。

 日本人の脳力と能力を高めるためには、暗算」を重視するよう、算数の教科書や教え方も変えなければならないのです。