それは自分たちで考えないと。米国の小売業は、ウォルマートをはじめどこも苦しい状況です。移民が多く、消費者が増えている地域ですら厳しいんです。日本のように人口が減っている地域がより早く苦境に陥るのは当然のことで、皆がそうしたことを考えないのは、僕には不思議で仕方がない。

 国内の大型店が苦しいのは、海外のまねをすればいいと思っていたからでしょう。ダイエーさんや西友さん、そしてヨーカ堂だって、海外のチェーンストア理論を金科玉条のようにまねしてきた。それじゃあ駄目なんです。

 コンビニだって、扱う商品は弁当やおにぎり、雑貨だと、みんなが勝手に定義しているわけですよ。僕はそんな定義なんかしない。自動車を売ってもいい。30坪の店で、何を売ったっていいんです。

鈴木敏文氏、流通人生・退任劇・将来を語る(上)「自動車を売ってもいい。コンビニの扱う商品をみんな勝手に定義している」

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──その発想の先にあるのがオムニチャネル戦略なのですか。

 オムニチャネルと皆が言いますが、僕が目指すのはどこにもない取り組みです。インターネットとリアルの融合といっても、多くの場合は、メーカーの商品を集める単純なものばかりです。

 僕の考えは、コンビニや百貨店、専門店、スーパーなどグループの多様な資源を使って商品を作り、ネット上で販売すること。それに加えて、メーカーの商品も扱う。ここまでできると、世界に例のない取り組みになります。

──商品作りまで手掛けることが重要だということですね。

 そう。でも、今後うちができるかどうか分かんないよ。だって、僕が引いちゃったから。

 今、百貨店やスーパーが苦しいのは、どこも同じ商品を売っているからです。なぜなら、問屋が同じだから。では、今成長している企業はどこですか。衣料品はユニクロ、家具はニトリ。全部、自主マーチャンダイジング(MD)をやっています。そして、最初におにぎりや弁当などの自主MDを始めたのがセブン-イレブンですよ。

 だから、人任せにしては駄目。新しい業態や、新しい消費を作り続けないといけない。そんなことは本を読んでも書いていない。

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