「どうなってる?」と聞いても、「ちょっとまだ……」と隠す人たち

 仮説にこだわってしまう理由その3は、「自分の思考を抱え込んでしまうから」だ。

 仮説は情報に自分の洞察を加えて生み出すものだが、そこに他人の意見や新たな情報というインプットを加えて更新することで、仮説は進化していく。

 だが、思考を抱え込んでしまう人は、新たなインプットを受け入れることができない。

 このタイプの人は慎重でなかなか判断をくださず、「あれはどうなっている?」とまわりが助け舟を出しても、「ちょっと、まだ……」と言葉を濁して、思考のプロセスをオープンにしようとしない。だが、自分の中でも行き詰まっているなら、新たなインプットをもらったほうが打開策の見つかる可能性は高まるはずだ。

 こうして思考を抱え込んでいると、結局、見当違いな方向に思考を進めてしまうこともある。これでは時間と労力のムダだ。本人としては頑張っている自覚があるわりに成果が出ない、悪い努力のなかでも気の毒な例だ。

 思考のプロセスを人に見せたくないのは、自信がないからかもしれない。逆に自信がありすぎて、口出しされたくないのかもしれない。たんにプライドが高いせいかもしれない。いずれにせよ性格などその人の内面的な要因だろう。

 だが、いい努力をするには、オープンでいなければならない。これは多くの優れたリーダーを見てきた経験から断言できる。外部の情報、他人の声にオープンであったほうが、いい努力を通して大きな成果が出る確率が高まるのだ。

(※この原稿は書籍『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』から抜粋して掲載しています)