読書の第二レベルは点検読書
M・J・アドラーらは「点検読書」というものを読書の第二レベルとして提唱しています。正直、私はこの「点検読書」という概念を知ったとき、少なからず驚きを覚えました。はじめて聞く考え方だったからです。
点検読書の目的は、入念に読む価値があるかどうかを調べることです。調べていくうちに読む必要がないという結果になるかもしれません。読む必要のない本のために時間を費やすのはもったいないですから、それを調べるための点検読書は重要だといえます。
点検読書は次のような手順で進めていきます。
ステップ1 表題や序文を見る
タイトルやサブタイトルからその本の目的や取り扱う範囲を見極めます。著者のものの見方なども把握できるとなおいいでしょう。そして、その本を分類して心のなかの書棚のどこに置くかを考えてみます。
ステップ2 目次を調べる
本の目次は映画でいうと予告編のようなものです。目次を見れば、その本がどのような構造になっていて、どのような内容が書かれてあるのかがある程度把握できます。
ステップ3 索引を調べる
索引のない本もありますが、ついているものは調べるようにしましょう。索引に出ている重要な言葉は、そのページを何ヵ所か開いて読んでみることです。
ステップ4 カバーに書いてあるうたい文句を読む
空虚な宣伝文句だとあなどってはいけません。その本の論点を正確に要約していることも珍しくないからです。
以上の4つのステップで、読む必要があるかないかを判断します。さらに、「点検読書」は次の段階へと進みます。
点検読書のさらなるステップ
ステップ5 その本の議論のかなめと思われるいくつかの章をよく見る
先の4つのステップでその本の全体像が漠然と見えてきます。すると自分にとってどの章が重要なのかがわかってくるのです。その重要な章のはじめと終わりを読んでみてください。その章の要約が書いてあることが多いので、内容がひと目で入ってきます。
ステップ6 ところどころ拾い読みしてみる
2ページか3ページくらい拾い読みしてみます。本全体を俯瞰で眺めてみて、直観でいいので「あ、ここが重要かな」と思ったところに降りていって拾い読みするわけです。
特に最後の結びの部分は読むようにしましょう。著者はたいがい最後に自分の意見を語っているからです。