ビジネスパーソンたちには「点検読書」で十分

 M・J・アドラーらは、著書のなかで読書の第三レベルとして「分析読書」を勧めています。「本を分類しなさい」とか「著者の伝えたいことを読み解きなさい」とか「本を正しく批評しなさい」「著者に賛成するか反論するか」といった読書術を伝授してくれています。

 しかし、私は、第二レベルの「点検読書」でも十分だと考えています。なぜならば、私たちの目的は限られた時間で、できる限り多くの情報を手に入れることだからです。

 以前、読書会を開催していたことがあります。気になる本をお互いに持ち寄るのです。そして最初の30分間で読みます。そのあと、その本に何が書いてあったかを1人ずつプレゼンするのです。

 たった30分で内容を把握して発表しなければいけないので「分析読書」はできません。おのずと「点検読書」になってしまいます。それでも情報を仕入れるという目的は十分達成できるのです。

さまざまなビジネスシーンで必要なスキル

 そもそもこの読書法は本好きの人なら誰でもやっていることです。タイトルや目次や序文などにザッと目を通してどこに自分の求めている情報が書いてあるかを見極めます。そして、どこにも自分に必要な情報はないと思ったらサッサと本を閉じてしまえばいいし、必要だと思ったらそこだけじっくりと読めばいいのです。ビジネス書を毎日1冊読んでいるという人はたいがいこうした読み方をしているものです。

 要は「本を選ぶスキル」「情報を選択するスキル」といってもいいでしょう。このスキルはビジネスシーンでは随所で発揮されます。

 仕事関連の参考資料や書籍、インターネットの文字情報など、短時間で読まなければいけないものは案外多いものです。企画書や提案書を作るときや、会議で発言しなければいけないときなど、いちいちじっくりと読んでいる時間はありません。そんなときは、この「点検読書」で対処できるはずです。