予想通りのG20、当面介入は無理
主要20ヶ国の財務大臣、中央銀行総裁が集う「G20」の会議が23日に閉幕したが、今回のG20では、日本にとって、実質的に意味のあることは何も決まらなかった。
共同声明に盛り込まれた「為替相場の過度の変動を監視」は、「監視」という強い言葉を使っているが、為替レートのレベルの高低はともかく、急激な変動が好ましくないという何十年も前から全ての国が建前として一致する常識を繰り返したものにすぎない。
少なくとも、現在のようにじわじわ進んでいる円高に対して、日本が、為替レートのレベルを大きく変えるような市場介入を行うことが正当化されたとは言えない。
「通貨安競争を避ける」というのは、各国の金融政策に関する縛りがない以上、「先進国は為替介入をしない」と読み替えるべきだ。日本政府が、円安を目指して為替市場に介入することは、極めて難しくなった。
ところで、先進主要各国が集まって議論をすれば、為替の介入に対して否定的な意見の下に合意が形成されることは事前に十分予想できたことだ。何ら意外性はない。
そう考えると、先般、一度だけ行った日本の為替介入には一体どんな意味があったのかが疑問視されることになる。端的に言って、政府が「対策をやる気は一応あります」という一時的な言い訳のために介入を行ったということではないのか。だとすると、後の続かないムダ玉を撃ったと言われても仕方があるまい。
今回の会合の議論は、米国と韓国が共同で提案した、経常収支に関するGDP比4%以内の数値目標を巡るものが中心だったようだが、これは、各国の事情を考えると、そもそも無理な提案だった。雇用の回復が遅れて、支持率が下がっている米国民主党政権としては、自国の輸出と雇用の拡大に注力しているポーズを示す必要があったし、為替レートを操作して黒字をため込む中国を、経済を巡る仮想敵に仕立てる必要があった。