2020年8月にオリンピックの宿泊需要を吸収できるだけの民泊が林立したところがビジネスとしてのピークで、それ以降、急速に民泊は儲からなくなるかもしれない。だとすれば借金をして民泊を始めた人や、老後資金をつぎこんで民泊を始めた人はここから先、地獄を見る。

 実需に対応した投資が経済の原則だと私は思うが、投資が過熱をすればこういった経済のゆがみが必ず起きる。ホテルの開業、大規模小売店のオープン、景気をあてにした新工場の建設。

 これらの投資を裏付ける根拠が実は実需ではなく過熱経済の幻だったとしたら?バブル崩壊後にさまざまな大企業の経営の足をひっぱったのは、こういった過熱投資プロジェクトだった。それが再び起きるとすればまさに2021年の恐怖。90年代に起きたように日本経済自体が長期停滞の時代を迎えることになる。

長期停滞を避けるヒントが
ロンドン五輪にあった

 そうならない未来はないのか?もちろんある。参考にすべきは2012年のロンドン五輪だと私は思う。

 ロンドン五輪のメインスタジアムでおそらく五輪の歴史上初めて採用された設計思想がある。それが減築だ。8万人を収容できるスタジアムのうち、常設は2万5000席のみで、残りの5万5000席は簡単に取り除くことができる設計になっている。

 ロンドンでは新しい建物は、その後50年間は存在することを前提に投資されるそうだ。五輪という一瞬のイベントだけでなく、その後50年間、維持管理ができ、経済的な需要をまかなえる大きさを想定して設計が行われ、だからこそ五輪後に大きな反動が起きない。ロンドン市民は五輪という世界的イベントを楽しむとともに、減築によって五輪後は通常の生活に戻ることができる。

 日本経済も2020年に向けて目指すべきことはこのような、後戻りのできる投資ではないだろうか。

 一方で、政府と東京都の事情を眺めると、これから先、バブルの頃と同様に「公共投資の無駄」が必然的に起きそうだ。大切なことは民間部門がそれに相乗りして投機的な投資をしないこと。これからの4年間、企業経営者にとっては投資の誘惑は増え続けるが、それにどのような形で乗るのかが問われる。そう私は思うのだが、どうだろう。