名前を変えただけで、まったく人気のなかった商品が、突然爆発的に売れるようになったりすることがある。それはもちろん日本だけではなく、世界共通の現象だ。
ダイヤモンド社より『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』を刊行したコピーライターの阿部広太郎氏が見聞した珠玉のエピソードを紹介する。
そう、人は言葉を食べているのだ。

ニューヨークで明太子がバカ売れした秘密Photo: Adobe Stock

気持ち悪いと酷評された
「Cod roe(タラの卵)」

「言葉を企画する」という行為は日本語限定の話ではない。
言葉があるところでは、どこでもつくれることだ。
アメリカでの出来事を紹介したい。
福岡出身のレストランオーナー、ヒミ*オカジマさんがニューヨークで経営する博多料理店は大人気店だ。
明太子を英語で直訳し、お店のメニューに「Cod roe(タラの卵)」と出したところ、実際に食べてもいないお客さんから「なんだこれは、気持ち悪い!」と酷評されたそうだ。
そう、アメリカには、魚の卵を食べるという文化がない。食わず嫌いと言うのだろうか。それゆえに美味しいイメージが湧かずに、敬遠してしまうというわけだ。
美味しい明太子。
どうしたらこの美味しさが、アメリカの方たちに受けいれてもらえるのか?
オカジマさんの出した答えはこうだった。

Cod roe →HAKATA Spicy Caviar

博多スパイシーキャビア。
名前を変えた途端に、爆発的ヒットを記録する。
「うまいうまい」と食べはじめるアメリカの方たち。なんだこれはお酒に合うじゃないかと、よく冷えたシャンパンと博多スパイシーキャビアで楽しむ人々であふれるようになったそうだ。