たった2、3文字の言葉にも様々な情報が含まれている。僕たちはある一つの言葉を聞けば、そこから人それぞれにいろんな景色を思い浮かべることができる。ただ単に言葉がつながっていくだけでも、僕たちはそこに物語すら共有することができる。
ダイヤモンド社より『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』を刊行するコピーライターの阿部広太郎氏が贈る、単語だけのささやかだけどあたたかい物語をご堪能あれ。

ツイッターという140文字の小説Photo: Adobe Stock

言葉は意識の引き出しを開ける

心を種にして言葉になる。
自分から沸き起こる気持ちに、後から言葉がついてくる。
では、人が書いた言葉を読む時に、僕たちの心の中ではどんな作用が働いているのだろうか?ここを更に解き明かしていきたい。
次の言葉を、あなたの心の中でつぶやいてほしい。

退屈

毎日

新学期

青空

転校生

一つひとつの言葉からイメージが広がらなかっただろうか?
僕はあなたの頭の中を覗きに行って確かめることはできない。けれど、この言葉から思い描くことは誰一人として同じではなかったはずだ。それぞれが、違う何かをイメージしたはずなのだ。
「退屈」から、学校の授業中に、教室の窓越しに流れる雲をぼんやり眺める時間を思い描いた人もいれば、デート中なのに恋人がスマホばかりを見ていて少し寂しく感じる時間を思い描いた人もいるだろう。
言葉は意識の引き出しを開ける。そのことを考えながら、僕がつくった作品がある。