「貧乏国ニッポン」の道筋を決定づけた90年代の出来事 、賃金・技術力で転落…Photo:PIXTA

日本の国際的な地位が急激に低下している現実について、多くの国民が認識するようになってきた。日本が主要先進国から転落しつつあることは、各種のデータを見れば明らかだが、そうなった理由について積極的に議論されているとは言い難い。これ以上の凋落を防ぐためには、現実を直視し、国際的地位が低下した根本的な原因について検証する必要がある。(経済評論家 加谷珪一) 

賃金、競争力、技術力…
国際的地位が著しく低下した日本

 2019年時点における日本の1人当たり国内総生産(GDP)は4万690ドルとなっており、諸外国との比較では26位だった。主要国トップの米国は6万5000ドルなので、上位国と比較すると大きく水をあけられた状態にある。

 実質賃金に至っては、購買力平価のドル換算においてすでに韓国にも抜かれている。かつて日本は1人当たりGDPで主要先進国中1位だったという現実を考えると、日本の国際的地位が低下しているのは明らかだ。

 国際的地位の低下はGDP以外の統計にも顕著に表れている。