新規開拓が難しいと言われる法人向けビジネスで、新しいお客様を効率よく獲得する方法。それが「クジラ市場」と「雨ざらし市場」の2つの空白マーケットを狙うこと。本連載では、船井総研の売れっ子コンサルタントがその攻略ノウハウを教えます。第3回は、巨大な空白マーケット「雨ざらし市場」の具体例をご紹介します。

2つの空白マーケット
「雨ざらし市場」と「クジラ市場」とは?

 前回までに、法人向けビジネスの会社が消費者相手の商売に手を出しても失敗しがちなこと、小さな会社こそ法人市場で勝負すべきことを述べてきました。では、法人営業の新規開拓において、どのようなマーケットを狙うべきなのでしょうか。じつは、法人営業には2つの空白マーケットがあります。

(1)雨ざらし市場
(2)クジラ市場

 1つ目の「雨ざらし市場」とは、従来の人的販売が成り立たないと思われている零細企業・個人事業主マーケットを指します。ルートセールスの営業マンは、訪問しても数字につながりにくい零細企業には積極的に訪問しません。その結果、どこの会社からも訪問されずに「雨ざらし状態」になっていることから、こう呼ばれています。

 2つ目の「クジラ市場」とは、いわゆる大企業マーケットのことです。大企業はクジラのように巨大ですが、仕留めるのが難しいのでこう呼ばれています。大企業が相手となると、普通の中小企業は尻込みしてしまい、新規開拓で積極的に攻めようとはしません。大企業は普通に攻めたら非常にガードが固いからです。

 これら2つのマーケットのうち、まずは「雨ざらし市場」の事例から見ていくことにしましょう。

「雨ざらし」の代表例、
零細居酒屋マーケットと零細工場マーケット

「雨ざらし市場」の代表例が居酒屋マーケットです。

 居酒屋は世の中に溢れており、全国に14万店舗あると言われています。これはコンビニエンスストアの倍近い店舗数です。さらにその居酒屋のうち、従業員3人以下の店舗が10万店舗もあります。つまり居酒屋の約70%が零細企業・個人事業なのです。

 では、これらの零細店舗に食品問屋などのルートセールスが頻繁に顔を出すかと言うと、出してくれません。顔を出したところで買ってもらえる量など高が知れているからです。