旧制一中が強い東北エリア

 今回、“西高東低”の傾向が毎回強い「国公立100大学合格力」はベスト50、逆に“東高西低”の「難関私立大学合格力」と“私多公少”が際立つ「国公立医学部合格力」は、それぞれベスト25を掲載した。ここから先は、北から順に三つの合格力ランキングを加味しながら見ていこう。ちなみに、三つの合格力すべてでランクインしたのは都立日比谷のみだ。

 まずは、北海道・東北から。北海道には北海道大のほか、札幌医科大、旭川医科大と三つの国立大医学部医学科がある。そうした背景もあり、札幌南は公立校の中では国公立医学部合格力で1位となっている。北海道の国公立100大学合格力は、2位札幌南、18位札幌北、49位札幌東(札幌市白石区)という状況である。前回は札幌北が札幌南を追い抜いている。

 東北を順に見ていこう。青森県では旧一中の32位弘前(弘前市)が唯一顔を出し、国公立医学部合格力でも22位と健闘している。岩手県もやはり旧一中の盛岡第一(盛岡市)が唯一で、国公立医学部合格力も25位にも入った。

 宮城県は、仙台に第一、第二、第三という3つの学校があるが、いずれも10年ほど前に共学化されている。仙台第一(仙台市若林区)が旧一中だが、合格力では旧二中の29位仙台第二(仙台市青葉区)が県内トップの座を維持、国公立医学部合格力でも4位と光る。次いで、戦後生まれの41位仙台第三(仙台市宮城野区)がランクインした。

 秋田県は10位の秋田が国公立医学部合格力でも10位、山形県では36位山形東(山形市)が同じく19位と、いずれも旧一中が県内で唯一ランク入りしている。福島県はいずれのランキングからも外れていた。

 次は、北関東3県を見てみよう。茨城県では36位に中学校を付設したばかりの水戸第一(水戸市)が入っているが、国公立医学部合格力20位の県立並木中等教育学校(つくば市)が目を引く。茨城県は県立の進学校を軒並み中高一貫化しており、2008年にいち早く中等教育学校として登場した並木がこうした成果を上げていることは、今後のことを考えると興味深い。

 栃木県は旧一中の男子校である45位宇都宮(宇都宮市)が、国公立医学部合格力でも22位に入った。群馬県は国公立医学部合格力で男子校の旧一中・県立前橋が6位に入り、20位に中央中等教育学校(高崎市)が入ったことが印象的である。前橋と高崎にそれぞれ男女別学の県立4校があり、これらが県下の公立校をリードしてきた群馬で、県立唯一の中高一貫校で共学校ある中央が浮上したことの意味は大きいだろう。