各校の課題に応える人材を配置

 オーナー系、大学の系列、宗教系の学校を見てきた。それ以外の学校について、改めて東京から挙げていこう。

 東村山市にある明法は、高校に女子生徒を受け入れて共学化した2019年に、東京都教育庁の主任指導主事や都立大崎高校や町田高校の校長を歴任、全国高等学校情報教育研究会会長も務めた牛来峯聡氏を校長として迎え入れた。“共学化元年”とアピールしたが、現状でも中学校は男子校のままである。

 この3月下旬に畠山武氏の新校長就任が発表されたことで、唐突な印象を与えたようだ。畠山氏は西武学園文理で教頭を務めた後、2015年から府中市にある明星の校長に。その後、学校法人東京農業大学の初等中等教育部で参与を務めていた。

 葛飾区にある共栄学園は女子バレーボールの強豪校として全国的に有名で、新校長の御宿重夫氏は、中学校バレーボール部監督として全国的に名をはせている。

 神奈川では、共学校の桐蔭学園中等教育学校(横浜市青葉区)の新校長に、副校長の玉田裕之氏が昇格した。玉田氏は、いまや桐蔭学園の代名詞となっているアクティブラーニング型授業の「言語活動」をリードしてきた存在である。桐蔭学園の卒業生で国語科教員だった前任の岡田直哉氏は、高校と中等教育学校の統括校長に就任した。また、同じく中等教育学校の自修館(伊勢原市)では、教頭の小河亨氏が昇格している。

 埼玉の武南(蕨市)では、県立伊奈学園総合高校の校長を務めた遠藤修平氏が新校長に、同校の卒業生で県立越谷東高校校長と川口市立高校副校長を務めた鶴見秀海氏が新教頭となる。元県立高校の校長が同時に就任するという珍しい人事となった。本庄第一中学(本庄市)では、樋口綾乃氏が新校長に就任している。

 国立校では、大学の教授が校長になることが一般に見られ、現場の実務は副校長が仕切っている。東京学芸大学附属世田谷中学の校長には、教育支援協働実践開発を専攻する同大学次世代教育研究センター所属の前原健二教授が就いた。

 皇族が初めて高校に入学することで話題となっている筑波大学附属では、中学校の新校長に筑波大学教授でメンタルヘルスやストレスマネジメントなどを研究している精神科医の水上勝義氏が就任した。同附属高校の校長には、心理学と認知行動カウンセリングが専門領域で、臨床心理士などの資格を持つ筑波大学教授の藤生英行氏が2020年に就いている。

 公立校では、東京都立立川国際中等教育学校の新校長に市村裕子氏が就任した。22年開校の東京都立立川国際中等教育学校附属小学校の初代校長でもあり、全国の公立校で初となる小中高一貫12年教育を統べる重責を担うことになる。前校長の幸田諭昭氏は、先述したように東京農業大学第一の新校長に転じた。

【訂正】 本文第10段落について、初出時『東京都市大学付属(世田谷区)の新校長には、定年退職した神奈川県立横浜翠嵐高校前校長の篠塚弘康氏が就いた。数学科教員で、母校である希望ヶ丘高校の校長も務め、教育委員会で県立高校担当の人事課長も務めている。』の『希望ヶ丘高校の校長』を「希望ヶ丘高校の教頭」に訂正いたします。
(2022年5月2日16:08 ダイヤモンド社教育情報)