女子校算数入試の攻略法

回答欄と一体化した問題が3ページぎっしりと詰まり、計算スペースの確保にも工夫が必要となる女子学院
解答欄と一体化した問題が3ページぎっしりと詰まり、計算スペースの確保にも工夫が必要となる女子学院(2022年)
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 これは女子校全体を通して言えることだと思いますが、最近、入試問題が簡単になってきているように感じています。その結果、実際の入試では、これくらいの点が取れたから合格していると思っても、実際にはライバルがそれよりもう少し得点していて不合格という例が見られます。先ほど、受験生の平均点をまず目標にしようと言いましたが、入試本番で、貪欲にあと1問、あと1点を取ることができるような姿勢と意識を身に付ける必要があります。

 正答率の高い問題に全問正解していれば、基本的に合格を得られるはずなのですが、実際には、必ずミスをしているものです。これをカバーできる1問の正解が、合否を左右するということです。

 一般的に、女子校の算数は、40~50分で20問前後出題されます。男子難関校のように、大問の中の小問を順番に解けないとダメという例はまれで、問題自体はごくシンプルなものが多い。ただ、設問の誘導の仕方が中途半端といいますか、それぞれをバラバラに解くことができる小問が便宜的に並んでいる場合がよくあります。難易度順に並んでいるわけでもないので、初めの方の問題が難しいからといって諦めてはいけません。すべての設問にしっかりと目を通し、解ける問題を見逃さないように解き進めてください。

 また、突拍子もないような出題はあまりなく、問題のレベルが安定していることもあって、受験生の偏差値通りに合格・不合格が決まることが多いのも女子校の特徴といえるかもしれません。

 ここからは難関・上位校の算数問題について、具体的に見ていきましょう。東京の女子御三家で、桜蔭はかなり特殊です。それは解答用紙を見ると分かります。男子校の開成と同様、大きな余白があり、そこに計算式などを書き込む東大入試を意識したような設定になっています。他校と比べて大問数が少なく、独立小問を除いた大問4問のうち2問半正解しないと安心はできません。

 私が専門コースを15年ほど担当した女子学院もやっかいな学校です。まず、問題数が多い。27問から30問程度出ることもあります。誰でもできるような易しい問題もあるため、それができたからと安心してしまってはいけません。3枚ある入試問題の最後まで到達できるような訓練が必要です。そのためには、全体像を理解しながら易しいものからつまみ食いをする感覚で解いていくことが大切です。困ったことに、受験者平均点が安定しないのも特徴です。