中堅校は受験料割引が基本
難関・上位校との併願需要も多い偏差値50台の中堅校となると、同時出願を条件に、複数回受験料割引を行う学校が一挙に増えてくる。一般入試を2回行う学校の場合、香蘭女学校は同時出願により鴎友と同じ4万円に、桐朋はそれより2000円お得な3万8000円となる。3回の入試がある東京農業大学第一は、プラス1万円で“受け放題”となる。埼玉の人気校では、大宮開成は追加1回あたり5000円に設定、受験者数日本一の栄東は2回目の受験までは同額で、3回目から5000円ずつプラスとしている。
異彩を放つのが、先述した東京都市大学付属である。こちらは複数回受験をした際の追加受験料を取らない。開智のグループ校や帝京大学も同様だ。
図1と図2には、23年の一般入試で“受け放題プラン”を採用した学校について、受験生数合計の上位40校を掲載した。偏差値40台以下の中位校では、受験料2万円ほどでこうした設定を行っている学校が多いことが分かる。41位以下の中には、受験者数合計が100人に満たない学校が20校ほどある。“受け放題”がどのくらい寄与しているかは分からないが、こうした学校では生徒募集にかなり苦労している様子はうかがえる。
ここ数年、一挙に実施校が増えたのが2月1日と2日の午後入試である。受験生が受けやすい算数(女子校では国語も)1教科だけで合否判定をする入試が多くの受験生を集めている。こうしたタイプの入試は1万円程度の受験料で負担軽減化を図っている例が多い。図中にはないが、埼玉の浦和実業学園や武南、東京の駒込のように、同日の午前と午後の両方受験では追加受験料なしという学校もある。
中堅・中位校の中には、公立中高一貫校の模擬試験となるような適性試験型入試で人気の学校もある。この場合は1万円前後、神奈川では5000円と、まさに模試を受ける程度の負担で実施されており、こうした入試については“受け放題”の対象からはずすことが一般的だ。また、1月いっぱいに出願すればお得という“早割”を設定している日本大学豊山や獨協の例もある。
図3は、“受け放題”ではないものの、一般入試での複数受験同額の受験回数を2回から4回まで設定している学校について、受験者数合計で上位10校を掲載した。
淑徳は3日の3回は対象外で、光英VERITASは指定された組み合わせに限られる日など条件がある。中には、複数回受験するようなその学校の熱望受験生に対して、加点などにより合格を得やすくする配慮を行う例もある。
また、コース別入試を設けている学校では、スライド合格制度を設けて、上級コースには届かなかった受験生を救済するほか、得点によっては上級コースもしくは特待生として遇するような逆スライド合格を行っている学校もある。こうした仕組みについては、後日見ていきたい。