女子校からの“リニューアル校”

 元女子校が共学化し、国際バカロレア(IB)や海外大直接進学、STEAMなど新しい教育理念を掲げて人気となっている“リニューアル校”でも校長交代がいくつか見られる。

 西本願寺傘下の武蔵野大学附属千代田高等学院の木村健太新校長は、広尾学園中学校・高等学校で医進・サイエンスコースを立ち上げ、医学部合格者激増のかじを取り、同コースの統括長を務めてきた理数教育の有名人である。武蔵野大学附属千代田高等学院と武蔵野大学中学校・高等学校の学園長を兼任し、千代田国際中学校の校長も務める日野田直彦氏のパートナーとして、進学実績の多様化と向上が期待される。

 2023年入試の話題校となった芝国際中学校・高等学校の山崎達雄新校長は、同校開校準備室副室長を経ての就任である。宝仙学園共学部理数インター、かえつ有明の立ち上げにも参画するなど、学校リニューアルの経験が豊富であり、東京都市大学付属中学校高等学校や村田女子高等学校(現・広尾学園小石川中学校・高等学校)校長を歴任した開校準備室室長である小野正人理事との二枚看板となっている。こちらも国際化教育に加えて、理系教育への注力が進んでいる。高校では募集人員の2倍もの新入生が入ったこともあり、24年入試ではいろいろと見直しが図られることだろう。

 千代田区から江東区に移り、湾岸タワマンの追い風も得て人気校の仲間入りを果たしたかえつ有明中・高等学校の石川百代新校長は、前身である嘉悦女子中・高等学校の卒業生で、嘉悦大学学長を経ての就任となった。渡米後、MBA(経営学修士)とCPA(米国公認会計士)を取得して国際会計事務所に入り、帰国後も外資系企業で働くなど、ビジネス経験が豊富である。

 かえつ有明はクラスの25%程度を国際生(帰国生)が占める。一般生との融合で「グローバル」「ダイバーシティ」を育み、アクティブラーニングから進化した「ディープラーニング(深い学び)」も加えた三本柱を掲げている。前嶋正秀前校長は校長職を退くものの、教員としての勤務は継続する。

 今年創立100周年を迎える目白研心中学校高等学校は系列に目白大を持ち、2009年度から共学化した元女子校。吉田直子新校長は、創立者の妻で東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)出身の佐藤フユに続く歴代二人目の女性校長で、教頭からの就任となる。慶應義塾大文学部(教育学専攻)卒業後、一般企業に就職したものの、日本語教師としてニュージーランドのビクトリア大学日本語科に。帰国後、留学生の日本語教育担当として本校の前身となる目白学園中学校高等学校に入り、英語科教員となった。津田塾大大学院英語教育研究コースでMA in TESOLも修めている。

 文京区の茗荷谷駅すぐにある貞静学園中学校・高等学校も2011年度から共学化した元女子校だが、こちらでは葛飾区立小学校の校長や東京都小学校国語教育研究会会長を務め、系列の短期大学で幼児と小学生の国語教育を担ってきた朴木一史(ほおのき・かずし)新校長が就いている。