この教室内では英語を話すことが原則となる「インターナショナルラウンジ」。ネイティブ教員との個人面談も随時行われ、英語のカラオケ大会などイベントも

生徒のニーズに見合った高大連携

――本校着任時に、まずは高大連携を探ったというお話でしたが、他にはどのような取り組みをなさいましたか。

山本 私は英語がいちばん苦手で、高校3年生のときには、受験勉強時英語に大変力を入れました。ところが、大学に進学して2年ほどしたら、身に付いていると思った英語力は、ほとんどなくなってしまいました。使える英語ではなかったからです。

 東京に赴任し、ひと月暮らしてみて驚いたのは、東京五輪大会の開催が決まった後だったこともあり、街にいる外国人の数が非常に多いということでした。これは、国内で英語ネイティブとコミュニケーションを図る必要がある、つまり、「学校で実践的な英語学習を行い、高校卒業までに使える英語を身に付けなければならない」と思ったのです。

 同じことを提唱されている方が予備校の先生にいらしたので、当時は面識がありませんでしたが、その方の事務所まで会いに行きました。それが、某予備校のカリスマ英語講師で、当時、文部科学省の「英語教育に関する有識者会議」の委員を務めておられた安河内哲也先生でした。安河内先生に本校の英語科特別顧問になってくださるようお願いしたところ、即答でご快諾いただきました。

 英語四技能の指導を受けて1年で英検合格者数が飛躍的に伸び、本校の「アクティブイングリッシュ」の授業は、全国の小中高等学校、学習塾の先生方だけでなく、大学の関係者にも注目していただくようになりました。それがきっかけとなり、最終的に学校間教育連携につながりました。

――東洋大学との連携は、どのようにして決まったのでしょうか。

山本 2014年に、スーパーグローバル大学(SGU)創成支援校に採択された東洋大学としては、英検2級の英語力を持った学生の入学には、関心を持っておられたと思います。そこで、基準として「英検2級」「評点平均値」「一定の学力」という3つの力を持った生徒が入学するという提案をさせていただいたところ、関東初の学校間教育連携が誕生しました。

――ところで、高大連携は維持することが大変だというお話がありましたが、今後はどのように対応されていこうとお考えですか。

山本 もはや大規模連携だけの時代ではないのでは、という思いを抱いています。生徒のニーズも中高6年の間に変化しますから。生徒の進路の多様化に対応できる形も考えていかなければならないと思っています。

 本校にも指定校推薦校枠は多くありますが、それらとは別に、小規模な学校間教育連携も結んでいます。成城大学の経済学部、共立女子大学の国際学部、東京女子大学の現代教養学部国際英語学科、女子栄養大学、そして今回、新たに日本女子大学が加わりました。

 本学園の「高大連携」は、大学の講座やイベントに本校の生徒が参加したり、大学の学部の先生に本校で講義していただくなどの教育交流はもちろん、筆記試験なしで第一志望に進学できる仕組みになります。

(1)英語の名言を各所に張り付けるなど、英語能力向上のための工夫が校内にはあふれている (2)英検への熱心な取り組みの結果、2級保有者は130人を数え、準1級や1級の合格者も出ている
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