1947(昭和22)年、旧帝国海軍工廠(航海・光学・電池実験部)跡地に開校した田浦校舎(神奈川県横須賀市)。64年に、現在の校地に移転した
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神父の先生が築いてきた栄光の校風

――初代校長の残した「日本の父」へは一世を風靡し、私がいまの仕事を立ち上げた40年前にもファンが多かった。「男らしく」「女らしく」というフレーズがたくさん出てきますが、その部分はいまの時代にはどのように取り上げていますか。

望月 親の性差による役割分担の話は、確かに今日そのままあてはめられないでしょう。でも、「親が協力しない限り、学校は無力である」というフォス神父の言葉も残っているように、保護者と学校とは互いに連絡を取りつつ、役割分担をしながら子どもの教育にあたる必要があります。学校は生徒に成績をつけますが、保護者には学校とは違う子どもへの接し方が必要です。

 フォス神父は、当時の父親に対して、子どもの教育を母親任せにせず、自信をもって子どもの教育に関わることの大切さを説いていました。最近では父母会でも、年々父親の参加が増えているように思います。ただし、例えば会社の若手社員の育成プログラムが良かったからといって、ご家庭でお子さんにそれを活用しても、たいていの場合はうまくいきません。

 父母会で私からそうしたお話はよくしています。感染対策もあって、大講堂で行いながらZoomでも配信するハイブリッド型で実施することで、遠方にいる保護者も参加可能となり、在籍生徒数以上の参加が得られ、いいことだと思っています。

――前校長の金子好光先生は、本校卒業生でもなく、信徒でもない初めての校長だったようですね。

望月 私も本校の卒業生ではありませんが、カトリック信徒です。学園の聖堂では、年間のさまざまな機会に、何度もミサや祈りの集いを行っています。ただし、ミサへの参加は自由です。宗教は、結婚のように人生にとって大切な要素です。大切なものだけに、自由意思に基づき自主的であるべきと考えています。本校では開校以来、宗教という授業時間もありません。希望する生徒のためには、課外活動として、聖書研究会が週1回行われています。聖書研究会は毎週金曜日の放課後ですが、どの部活動の生徒も参加できるように、金曜日は聖書研究会以外の課外活動は行わないことにしています。

――2016年に上智大学と法人統合されましたね。

望月 同じイエズス会の教育機関として、上智学院という1つの学校法人の下で、上智大学や広島学院などと並列の関係で合併しました。付属校ではありませんが、2年前から他のイエズス会の学校とともに上智大の特別推薦入学制度もできました。

 また、元は上智大生向けの海外研修プログラムを同一法人の中高生向けにアレンジしてくれるようになってきました。例えば、タイのバンコクにある上智ASEANハブセンターを拠点にして、少数山岳民族の村を訪問したり、現地の同世代の若者とディスカッションやプレゼンテーションをするといったものなどです。

――桐朋の校長は教員による選挙で選ばれていますが、栄光学園ではいかがでしょう。

望月 同じ学校法人でも、校長の選出方法は1つではありません。部分的に選挙を取り入れたり、協議して指名する学校もあります。外国のイエズス会学校でも同じで、それぞれの地域に応じた方法がとられているようです。女性校長の男子校もありますし、ムスリムの人が学校の幹部を勤めているところもあります。全世界に約850校あるイエズス会系の学校の運営はさまざまです。