生徒に人気がある中庭 写真提供:西大和学園中学校・高等学校

とても面倒見が良い学校

――ずいぶんと面倒見が良いのでしょうね。生徒のやりたいことを支援するスタイルですか。

飯田 そうですね。放課後には、子どもたちがさまざまなことに取り組んでいます。クラブを掛け持ちしている生徒や、SSHやAIP(Action Innovation Programの略で、本校独自の取り組みの一つ。社会問題を解決すべく、起業について学ぶ)という取り組みに励む生徒もたくさんいます。

 文化祭や体育祭も子どもたちが主体となり、企画・立案・運営と活躍してくれています。また、学年によって英語と数学で塾の先生と協力して授業をしています。これを受けるかどうかは子どもたちに選ばせていますが、この入塾テストに落ちても、本校の教員が面倒を見ています。

――男子は高2くらいから一般に伸びる傾向がありますね。

飯田 それはあります。私が学年部長の時、「東大コースをつくってほしい」と子どもたちからの要望があり、初めて東大クラスをつくりました。子どもたちには「どこまで本気なの?」と返したら、「本気でやるからつくってくれ」と67人が集まりました。

――その大人数ですと、灘と一緒ですね(笑)。

飯田 結局そのままいくことになりました。高2の12月から1月にかけてクラス替えを行い、担任も替え、時間割も変更しました。年明け高2の1月から「君らは今日から高3だ!3カ月前倒しで受験生だ!」とリスタートしました。東大を受けたい希望者ということで、中には学年最下位層の成績の生徒もいましたが、その子も1年後には東大に受かりました。

 そんなふうに、東大クラスをつくるか否かは、学年部長の裁量です。

――それが毎年の変動要因になるわけですね。

飯田 中等部では、22年の東大現役合格者が男女合わせて49人でした。その中には、中学入学時に補欠合格の生徒もいました。ボリュームゾーンがギリギリの点数で入ってきた生徒たちだったりもします。

――入学した時に下位だった生徒の方が、後から伸びるという話は耳にします。うちに来て、6年間頑張ったら、東大行けまっせ(笑)と。

飯田 そうです! 何より大事なのは志です。高等部は男女共学で約120人募集していますが、いまでも県立高校の併願校です。私も昔受験して合格しましたが、県立高校に進みました(笑)。それでも一昨年は、高等部から東大に現役合格者17人を出しています。こちらも3年間でなんとかします(笑)。

「オレが伸ばしてやる」というのが教員のモチベーションになっていて、先生同士が張り合っています。

――昔とはだいぶ変わったのでしょうね。

飯田 開校当時は、「関関同立100人合格」を掲げていました。それがいまでは、東大の合格者数で全国ランキング上位に入るようになりました。昨年からは、海外大学受験のプログラムの導入も始め、高校卒業時に海外トップ大学に直接入れるようにしようと考えています。

――すでに直接進学者も出ているのですか。

飯田 現状では、年に1人か2人です。しかし、5年後には20人の子どもたちが東大を「滑り止め」にして海外トップ大学をチャレンジしてほしいと思います。

――次回はなぜ、急速に躍進したのか、その背景についておうかがいしましょう。