授業では、各自がロイロノートに記入した意見を黒板に投影して共有も(2年国語)  写真提供:筑波大学附属中学校

ICT教育を積極的に推進中

――コロナ禍で授業にも変化はありましたか。

升野 2020年5月の一斉休校をきっかけに、各教室のプロジェクター設置やWi-Fi整備が進みました。学習支援アプリのロイロノートを活用して文章・画像・音声等の教材をオンデマンドで配信、作品提出や共有ができるようになったことで、授業が劇的に変化しています。昨年からの1人1台端末の整備によって、それがいっそう進みました。

――どのように活用されていますか。

升野 みんなの意見が可視化されることで、議論が活発になりました。インターネットを使った調べ学習やレポート作成も容易になり、授業でも家庭でも、学習活動の幅が広がっています。GIGAスクール構想によって配布された1人1台端末と、学習支援ソフトを効果的に用いている事例だと思います。

 教科外でも、クラス内でのアイデア出しやメッセージ送信、委員会活動での意見収集や全校に向けたPR新聞の配信、オンライン講演での生徒200人分の質問一覧集約などにも活用されています。さまざまな工夫が生まれ、先進的で楽しい、そして以前にも増して中身の濃い学校生活が実現しています。

――校舎は、以前お伺いした頃と変わっていませんね。

升野 まだ建て替えはできていませんが、改装は適宜行なっています。先ほど触れたように、ICT教育環境については積極的に整備を進めています。PC室を改装してアクティブラーニングルームとし、卒業生の寄付で入った新しい机と椅子があります。自由に組み合わせられるので、「探究」などグループディスカッションにも活用できます。

――どのように環境が整っていきましたか。

升野 20年9月に、全普通教室のプロジェクター設置と黒板の更新を行いました。プロジェクターは、投影場所を黒板の中心・左・右と3カ所選択できるので便利です。投影したものに書き込めるよう、黒板はグレー系にしました。同時に、放送室からの一斉配信システムを整えました。

 その後、特別教室でも同様の整備を行い、春休みには調理台の更新を行いました。今年度中に、生徒机も一回り大きいものに更新する予定です。

――環境が整うことで、いっそう附属らしい授業ができているのですね。

升野 本校の特色について、「この学校では、答えが同じになるような課題はほとんどない」と生徒が口にしたことがあります。そういえばそうだなと思いました。私も、夏休みに起きた出来事について、異なる新聞2紙の記事を左右に貼って、違いを書いてくるという課題を出したことがあります。

――1年ほどで、いろいろ実践されているのですね。

PC教室に卒業生の寄付で入った新しい机と椅子。自由に組み合わせられるので、「探究」などグループディスカッションも自在に