財政・税制(6) サブカテゴリ

異次元緩和によってマネタリーベースは著しく増えたが、マネーストックはそれほど増えなかった。その意味で、異次元緩和は空回りしている。これは、貸出が増えないからだ。では、銀行の資産構成は、異次元緩和によってどう変化したのだろうか？

マネタリーベースの増加にもかかわらず、マネーストックがあまり伸びていない。つまり、金融緩和政策は、期待どおりの機能を発揮していない。こうなる原因は、貸出が期待どおりに増えないからである。以下では、この状況を見ることとする。

安倍首相が消費税増税を実施するかどうかの決断の時が近づいている。そこで、ダイヤモンド・オンライン編集部では、消費税増税に関する緊急アンケートを行った。結果、若者たちは7割が反対、増税になれば5割超が買い物を控える、と答えた。

安倍政権は消費税率3％の引き上げのうち、2％分を経済対策で還元するという。大盤振る舞いの背景には、公共事業拡大をなどをもくろむ古い自民党が見え隠れする。これでは消費税増税の趣旨とぶつり市場のしっぺ返しを受ける。

消費税増税は経済書指標を見て普通に考えれば、法律通り来年4月に引き上げを行うことが一番自然なように思われる。しかし、市井の声は有識者とは少し異なるようだ。それはなぜだろうか。

4月から開始された「異次元金融緩和政策」は効果を発揮しているのか。検証していくと、金融緩和による直接の結果として増えているはずの「マネーストック」が、実際には思うほど増えていないことがわかる。よって異次元金融緩和策は、「空回り」していると言わざるを得ない。

消費増税は予定通り行い、景気は腰折れを防ぐために、5兆円規模の景気対策を実施という流れになっている。だが、景気対策の財源を検証してみると20兆円もあり、 実は当面の消費税増税が不要であるとという真実が浮かび上がってくる。

4～6月期の国内総生産（ＧＤＰ）第2次速報値は、実質で前期比0.9％増、年率換算で3.8％増となった。「金融緩和政策がいよいよ実体経済に影響を与え、経済の好循環が始まった」と感じている人が多い。しかし、実際に生じていることは、そうしたイメージとはまったく異なる。

いよいよ安倍首相は10月1日にも消費税増税について結論を出すという。私は昨年からずっと消費税増税には反対を唱えてきた。本稿ではその理由を述べるとともに、消費税増税を実施しなくとも、財政再建が可能なことを示す。

政府と日銀が進める「デフレ脱却＝インフレ率の上昇が望ましい」という考えは、大いに疑問だ。物価上昇による実質消費の減少は、消費税の増税による影響に匹敵するほど大きいのだ。

消費税増税を考える際のポイントは、増税の短期効果と中長期効果を区別すること。短期のデフレ効果を許容しつつ、中長期には、政府の政策遂行の信頼性を高めることにより、財政健全化と持続的な成長を両立させることだ。

ようやくインフレ期待が醸成されつつある今、理想は消費税増税の延期。ただ、単純な延期が政治的に難しいということであれば、アベノミクスと財政再建の両立をさせるために、毎年1％ずつ5年間にわたる消費税率の引き上げを提案する。

政府・日銀は「物価上昇によって現在の消費を増やし、経済を活性化させる」としている。しかし、現在の実質ＧＤＰの成長は、消費者物価の下落によってもたらされている。つまり物価を高めることは、経済を弱めてしまうことになるのだ。

安倍首相は、消費税増税がマクロ経済に及ぼす影響を検証する場の設置を指示した。平成版・金融危機などが起こらない限り、予定通り実施するのが望ましい。増税を先送りするのは以下の3つの理由から誤った政治判断である。

国内の実質ＧＤＰが増加傾向にある理由を、報道では、アベノミクスによって株価が上昇し、高額消費が増加したためであると説明している。しかし、この解釈には大きな疑問がある。実質消費が増加しているのは、まったく異なる理由による。

安倍首相は消費税増税に関する意見を聞くための有識者会議を設置し、増税を巡る議論が本格化してきた。日本のアジェンダでは賛成・反対それぞれの立場から、専門家の意見を掲載する。第1回目は編集部が争点を整理する。

日本の政府債務が1000兆円を超えた。「日本は国債をほとんど国内で消化しているのだから大丈夫」という議論もあるが、本当だろうか。実は第二次世界大戦終戦直後にわが国は国内デフォルトを実施した。その実態をつぶさにみる。

2013年4－6月期の上場企業の利益は、前年同期に比べて大きく増加した。利益増がとくに顕著なのが自動車産業で、円安によって順風満帆の状態にあるように見える。しかし、中身を詳細に点検すると、さまざまな問題が浮かび上がる。

6月に成立した「価格表示特別法」によって、2014年4月から17年3月末までの間の特例として、消費税額を含まない価格表示（税抜き表示）が認められる。しかし、税抜表示と総額表示の併存は、消費者を混乱させる可能性が高い。

日本銀行が4月に導入した異次元緩和措置は、そもそも機能するものなのだろうか？以下では、この問題を、銀行貸出や設備投資との関連で考えることとしたい。