2011.2.24 「竹取物語」 『竹取物語』の中に興味を惹かれる点はいくつもある。言い寄る男たちを一顧だにしなかったかぐや姫が、5人の貴公子たちには、条件を持ち出し態度を変えたところなど、非常に面白い。
2010.9.30 「大山詣り」 現在の神奈川県にある大山は、古くからさまざまな産業を守る神の山として崇められ、信仰の対象になってきた。特に江戸時代には、大山に登ってお詣りする大山講が各地でもうけられ、大山登山が盛んに行われたそうである。
2010.7.29 「桃太郎」 誰でも知っている昔話「桃太郎」。あらためて書いてみると、いかにもつまらない。話をつまらなくしている原因の一つは、桃太郎と家来たちとの関係が十分に掘り下げられておらず、また家来の役割に必然性が欠けているところにある
2010.7.15 「直木は先ず伐られる」 「直木は先ず伐られる」とは、才能を誇るものはすぐに人に利用されて身を滅ぼすことになるという意味の成語である。「出る杭は打たれる」ということわざがあり、意味も背景の論理も似通っているものの、私には直木や甘井のほうが格調高く聞こえる。
2010.5.12 「雉も鳴かずば」(公開終了) 「雉も鳴かずば撃たれまい」というのは、余計なことは言わないほうがよいということわざとして知られている。だが、背景にある昔話を読み解くと、誰にとって余計だったのか、本当に余計だったのかが見えてくる。
2010.4.21 「浦島太郎」(公開終了) 浦島太郎の物語は、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。亀を助けた善人であるはずの浦島太郎が、両親にも会えずおじいさんになってしまうという不幸な結末を迎えるのでは、話がおかしくはないだろうか。
2010.4.14 「こぶ取り爺さん」(公開終了) 昔話には、善行は良い結果を生み、悪行は悪い結果につながるという、勧善懲悪ともいうべき思想を表現したものが多い。「こぶ取り爺さん」もそうだと思っていたが、善悪ではっきりと区別できるものではなさそうだ。
2010.3.11 「長崎の魚石」(公開終了) 『日本の昔話』所収の「長崎の魚石」は、買い手の購買意欲の程度を売り手が正確に知り得ず、買い手もそれを正確に伝えられないとき、両者が最善を尽くしても、取引が不幸にして成立しないことがあるという話である。
2010.2.9 「井戸の茶碗」(公開終了) 古典落語「井戸の茶碗」は、登場する正直者たちがみな幸福になるという縁起の良い噺である。主人公だけではなく最終的にすべての関係者が得をするという結末に自然に導かれるのが、この噺のよくできたところである。
2009.11.10 「株を守る」(公開終了) 株を守る、あるいは守株という成句がある。これは、古い習慣や成功体験にとらわれてしまい、新しいことに対応する能力のないさまを指す。この成句の語源は中国の古典『韓非子』にある、たとえ話である。
2009.10.21 「牛の鼻ぐり」(公開終了) 九州地方の昔話に、「吉五」という知恵者が登場するものがいくつもある。その一つ「牛の鼻ぐり」は、吉五の巧妙な作戦に、荒物屋たちが見事にだまされる話だが、荒物屋たちはどこで誤りを犯したのだろうか。
2009.6.19 「まぎわらしい」(公開終了) 「まぎわらしい」を「紛らわしい」と同じ意味に使う人がいるという指摘を見かけた。「まぎわらしい」をキーワードにインターネット検索を試みたところ、驚いたことに、該当するページが大量に見つかるのである。