王 青
先月31日から、中国で春節(旧正月)の大型連休が始まった。毎年、春節の時期になると、多くの人が帰省や旅行で大移動する。しかし、1月に入って各地で新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の感染が確認されるなど、北京冬季五輪という一大イベントを控える大国は感染抑制に神経をとがらせている。そうした中で、各地方政府は非常に厳しい「移動制限」を設ける。遠く離れた地から帰ったのに、泣く泣く“トンボ返り”というケースもあるようだ。

昨年、中国で国家公務員試験を受験する人が初めて200万人を突破した。年々、応募者数は増加しているという。中国で公務員人気が高まっている理由とは何なのか。背景をひもとくと、経済の変化に伴い、働く人にとって厳しい時代が訪れている中国の実情がよく分かる。

先月、中国は昨年の出生率を発表した。その数字は前年から大幅に減少し、国内でも大きな注目を集めている。さまざまな統計からは、中国の少子高齢化が深刻な社会問題となっていることが分かる。そうした中で政府はある対策方針を発表したが、その内容に戸惑う国民が少なくない。

2008年に公開され、米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した日本の映画『おくりびと』の4K修復版が中国で公開され、異例の大ヒットとなっている。13年前の映画が今、中国の人々から高い関心を集めている理由とは何か。背景には、社会の変化に伴って中国人の「死」の向き合い方に生じはじめた変容の兆しが見える。

中国山東省の西南部に「曹県」という地域がある。漢服という中国伝統の民族衣装の生産などがさかんな地域だが、約10年前には中国でも特に貧困が深刻な地域として知られていた。官民一体となって貧困地域から脱却し、「稼ぐ村」へと生まれ変わることに成功したのである。いかにして曹県は変わったのか。

中国では9月から、子どもたちの教育において大胆な方針転換が進められている。これまで問題となってきた「宿題」や「塾などの校外学習」の負担を減らし、体育や社会勉強などに割く時間を増やすよう政府から各地に通達が出されたのだ。この方針転換は、中国の子どもたちの職業観や価値観を大きく変える可能性がある。

中国の不動産大手、恒大集団が経営危機に陥っている。中国を代表する大企業のニュースとあって、国内外で大きな関心を集めている。また、中国では長年、不動産価格は上昇を続けてきた。「不動産」は中国人にとって、非常に重要な財産である。それだけに、今回の騒動が不動産市場に与える影響を危惧する声が少なくないのだ。今回は中国ならではの特殊な「不動産事情」について紹介する。

東京オリンピックが閉幕。中国代表団は、38個の金メダルを獲得した。中でも中国国内で大きな注目を集めているのが、14歳で金メダリストとなった女子高飛び込みの全紅嬋選手である。彼女は、中国農村部の貧困家庭出身。全選手の生い立ちやインタビューでの発言は、中国の人々に改めて社会に潜む格差の実態を突き付けたのである。

8月8日、東京オリンピックの閉会式が行われる。新型コロナウイルス感染拡大が続く中、史上初の「無観客五輪」となった今大会。半年後に自国での冬季大会開催を控える中国の人々はどう見ていたのか。大会期間中は、SNSで選手への誹謗中傷コメントが相次ぐなど中国ネット社会の問題点も見えてきた。SNSでの反響や、筆者の知人のコメントなどを交えて、中国から見た東京オリンピックについて振り返ってみたい。

7月下旬、中国政府が発表した学校教育に関する「ある通知」が国民を驚かせた。通知では、小・中学校の宿題を軽減するほか、営利目的の学習塾を認めない旨が記されており、教育関連企業の株価は急落した。厳しい受験戦争や学歴社会で知られる中国が、「ゆとり教育」とも取れる方針を発表した理由とは。

中国の若者たちの間で、過酷な競争社会を生き抜くことを諦め、最低限の生活を送ることを志す「寝そべり主義」が流行している。中国では格差が拡大し、厳しい受験戦争に打ち勝ったとしても、就職や都会での生活に苦戦する人が少なくない。若者たちの間で広がる静かな抵抗と、その裏側にある厳しい競争社会について見ていこう。

筆者は日中の介護施設との交流を多く持つが、さまざまな点にその違いがあると感じる。「食」もその一つだ。中国の介護施設では、高齢者が驚くほど「よく食べている」のである。日本と中国、高齢者の「食」はどう違うのか。文化の違いも併せて紹介する。

10年ぶりに行われた国勢調査で、高齢者の数が著しく増えていることが明らかになった中国。高齢社会へと突き進む中で、「介護」の需要も拡大していくことが想定される。隣国のこうした大きな変化は日本にとってビジネスチャンスとなるのか。これを考える上では、介護を取り巻く「三つの構造的問題」を認識しておく必要がある。

少子化が加速する中国は、1組の夫婦に子どもを3人まで認める方針を発表した。しかし、国民からは批判的な声も多く上がっている。中国はかつて、厳しい「一人っ子政策」を徹底して実施してきた。これにより強制的な中絶、避妊など苦しい経験をしてきた女性たちは、再三の方針転換にやり場のない怒りを募らせている。

5月、中国は10年に一度行われる国勢調査の結果を公表した。高齢者が10年間で6割増加する一方で、昨年の出生数は前年比で2割近く減少。少子高齢化が加速している。中国政府は人口抑制の緩和にかじを切るとみられるが、立ちはだかる「壁」を崩すのは容易ではない。

1年以上続くコロナ禍。感染収束のカギを握るとされるのがワクチンだが、日本の接種状況は世界に大きく後れを取っている。一方で、中国ではコロナはほぼ収束を迎えており、中国製ワクチンの接種も進んでいるようだ。ただ、実際の接種状況が国外のメディアで語られることは少ない。そこで今回は、中国国内でコロナワクチンを接種した現地在住の日本人に、自らの体験や感想について聞かせてもらった。

中国人と日本人の若者の恋愛観や結婚観は、社会の事情や生活習慣、価値観などの違いもあり、かなり異なる。破局に終わったある日本人女子大学生と富裕層の中国人留学生とのケースを事例に、その違いを検証してみたい。

道端で倒れている高齢者を見て、すぐに助けるべきか――。日本では、「迷わず、すぐに助ける人」が圧倒的に多いと思う。しかし、現在の中国では違う。「日本も将来、現在の中国になってしまうのではないか」と懸念する筆者が中国の実情と背景を解説する。

少子高齢化が急速に進む中国では、認知症の高齢者も増え、社会問題となりつつある。そんな中、若手介護士の認知症ケアの様子を描いたある日本の映画が中国の介護関係者の間で注目され、話題となっている。

中国では、新型コロナウイルスの感染拡大以降、空前の健康ブームが起きている。中でも、日本人の平均寿命が長いことについては、話題になることが多い。実際、中国では、さまざまなメディアが「日本人の長生きの要因」を分析している。そこで、中国では、その要因を、どのように見ているのか調べてみた。
