日銀「量的引き締め開始」でも長期金利は急上昇しない、日本は「超円安」に苛まれ続けるPhoto:PIXTA

日本銀行は7月の政策決定会合で国債購入の減額、量的引き締めを開始する。量的緩和、国債の大量購入は長期金利低下を目的に開始されたが、量的引き締めは長期金利が急上昇することがないよう進められ、日銀が大量に国債を保有するストック効果ゆえに現実に長期金利は上昇しにくい。それは超円安にさいなまれ続けることにつながる。(BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト 河野龍太郎)

QEに緩和効果があって
QTに引き締め効果がない?

 中央銀行は大規模な資産買い入れ、すなわちQE(量的緩和)を行う際、その効果は絶大であると喧伝(けんでん)してきた。一方、QT(量的引き締め)を行う際、その引き締め効果はほとんどないように振る舞う。

 日本銀行は、長期国債購入の減額を金融政策と切り離して行うとしているが、金融引き締めと位置付けていないのは、FRB(米連邦準備制度理事会)など他の中央銀行も同様だ。

 QEに緩和効果があって、QTに引き締め効果がないというのは詭弁(きべん)のようにも見えるが、筆者は、QTとQEは非対称だと考えている。次ページ以降それはなぜなのか、その日本へのインプリケーションは何かを取り上げる。