戸田一法
神奈川県座間市9人連続殺人事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判判決公判が15日、東京地裁立川支部で開かれ、矢野直邦裁判長は検察側の求刑通り死刑を言い渡した。

自民党の元農相吉川貴盛衆院議員(70)=北海道2区=が在任中、鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の元代表(87)から3回にわたり、計500万円を受け取っていた疑惑が浮上した。アキタ社は河井克行元法相夫妻の選挙違反事件を巡り、関係先として検察当局の家宅捜索を受けていた。現金供与について東京地検特捜部も事実関係を把握しており、農林水産省やアキタ社の関係者を事情聴取するなど既に捜査に着手しているもようだ。今国会は5日に会期末を迎えるが、果たして立件はあり得るのか。

安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に東京都内のホテルで開催した夕食会を巡り、公職選挙法違反と政治資金規正法違反の疑いで安倍氏らに対する告発状が出されている疑惑で、東京地検特捜部が安倍氏の公設第1秘書や地元支援者らから任意で事情聴取していたことが明らかになった。新聞やテレビは「特捜部は立件の可否を慎重に検討している」などと報じているが、果たして「可」はあり得るのか。

第一生命保険は9日、山口県周南市で勤務していた元社員の女性(89)が在職中、顧客から約19億円をだまし取ったとして県警に告発していた問題で、金融庁に経緯などを盛り込んだ経過報告書を提出した。同社ホームページにも「元社員による金銭の不正な取得について」として調査結果を公表。管理体制の不備を認め「被害にあわれた方をはじめ、お客さまならびに関係者の皆さまに、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申しあげます」と謝罪したが、元社員の動機や使途など詳細は明らかにしていない。

警視庁は10月29日、乗用車で2人乗りのバイクと衝突後、現場から逃げたとして自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで、俳優の伊藤健太郎容疑者(23)を逮捕した。9月21日に放送された連続ドラマ「SUITS/スーツ2」でひき逃げ犯を演じていたというのも皮肉な話だが、逃げた理由について「気が動転してパニックになった」と供述し、容疑も認めているという。自ら通報し救急車を呼ぶなどの措置をした場合と、逃げた場合では刑事と行政の処分はどれほど変わってしまうのか。

自転車で対向車の前にいきなり飛び出すなど危険な運転をしたとして、埼玉県警は26日、道路交通法違反(あおり運転)の疑いで、同県桶川市寿1丁目、パート従業員成島明彦容疑者(33)=別の暴行容疑で逮捕済み=を再逮捕した。全国紙社会部デスクによると、あおり運転を「妨害運転罪」と規定し、厳罰化した6月の改正道路交通法施行後、自転車の運転に適用したのは初めて。成島容疑者は同様の危険運転を繰り返していたとされ、地元住民から「ひょっこり男」と呼ばれていた。県警が余罪を調べているが、昨年も同様の行為をしていたとして有罪判決を受け執行猶予中で、実刑判決は不可避と見られる。いったい、何がしたかったのか。

10月に入り、大学の運動部員による大麻使用の疑いが相次いで発覚した。東海大は17日、硬式野球部員数人が大麻とみられる薬物を使用していたと発表。近畿大は5日、サッカー部員の少なくとも5人が大麻を使用していたと明らかにした。全国紙の運動部デスクは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で思うように練習ができず試合も中止になり「時間を持て余して手を出してしまったのではないか」と指摘。社会部デスクは「いずれも入手しやすい大麻だった」という点に懸念を示した。

あおり運転殴打の宮崎被告に有罪判決 、厳罰化後も事件が後絶たぬ不思議
茨城県守谷市の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打など3つの事件で、強要と傷害の罪に問われた会社役員宮崎文夫被告(44)の判決公判が2日、水戸地裁で開かれ、結城剛行裁判長は懲役2年6カ月(求刑懲役3年8カ月)を言い渡した。

9月になり航空機の乗客が新型コロナウイルス感染拡大の防止として要請されたマスク着用を拒否し、退去させられたというニュースが相次いで報じられた。いずれのトラブルも共通点は男性の乗客が客室乗務員の声に一切耳を傾けず、理由の説明を求めても拒否。結局、運航責任者(機長)から降りるよう命令されたという顛末(てんまつ)だ。そして、これも共通しているのがトラブルになった後、マスク着用に身体的な問題があると主張し、航空会社の対応は不当と非難している点だ。果たして、退去させられた乗客の訴えに道理はあるのか。

カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件を巡り、東京地検特捜部は多額の現金を提供して公判で虚偽の証言をするよう依頼したとして、衆院議員秋元司被告(48)=収賄罪で起訴=ら5人を組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で逮捕した。証人買収事件では贈賄側の2人に、別々のルートで秋元被告の支援者がそれぞれアプローチしていたとされるが、秋元被告は9日の拘留満期で起訴され、もう一方の事件で再逮捕されるとみられる。汚職・証人買収いずれの事件も関係者は起訴事実や逮捕容疑を認めており、完全否認を貫く秋元被告の「外堀は既に埋まった」とみる向きが支配的だ。

昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、公職選挙法違反(買収、事前運動)の罪に問われた前法相の衆院議員河井克行被告(57)と、妻の参院議員案里被告(46)の初公判が25日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。両被告はいずれも起訴内容を否認し無罪を主張。公判は100日以内の判決言い渡しを目指す「百日裁判」で審理されるが、12月まで計55回の公判が予定されており、判決の言い渡しは年明けになる見通しだ。

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件に絡み、東京地検特捜部は20日、贈賄罪で起訴された中国企業側に公判で虚偽の証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ち掛けたとして、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで、衆院議員秋元司容疑者(48)を再逮捕した。

京都地検は13日、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性から依頼され、薬物を投与して殺害したとして、嘱託殺人罪で医師2人を起訴した。主治医でもない2人が安楽死を望む女性から報酬を受け取り、殺害したとされる過去に例のない事件。京都地検は起訴内容以外、事件の詳細について口を閉ざし、動機に関わる供述どころか、認否さえ明らかにしていない。京都府警、地検のガードは堅く、事件の謎は多く残ったままだ。

大阪府堺市で2018年7月に発生したあおり運転殺人事件で、最高裁は7月31日、殺人罪に問われ1、2審で懲役16年が言い渡された中村精寛被告(42)の上告を棄却する決定をした。あおり運転に殺人罪の適用が可能との司法判断が確定し、東名道の夫婦死亡事故をきっかけにした今年6月の改正道交法施行で厳罰化も進んだ。高速道で男性を威嚇して殴る映像がテレビで繰り返し流された宮崎文夫被告(44)の初公判も先月27日に開かれたばかりだが、あおり運転に対する包囲網は着々と拡大している。

年配の読者なら、故・手塚治虫氏の代表的作品「ブラック・ジャック」に登場するドクター・キリコを思い浮かべた方も多いのではないだろうか。京都府警捜査1課は23日、難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に薬物を投与して死亡させたとして、医師2人を嘱託殺人の疑いで逮捕した。

36人が死亡、33人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件は18日、発生から1年を迎えた。殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕・送検された青葉真司容疑者(42)は京都地検が6月から鑑定留置しており、その結果を踏まえて起訴するかどうか判断する。捜査関係者は青葉容疑者が一方的な思い込みで恨みを募らせ、犯行に及んだとみている。

前法相の河井克行衆院議員(広島3区)と案里参院議員(広島選挙区)の夫妻による選挙違反事件で、東京地検特捜部は8日、2人を公職選挙法違反(買収)の罪で起訴した。法相経験者、しかも国会議員夫妻が揃って逮捕されるという異例の事件。現金を受け取った側に対する広島地検の捜査も続いていたが「一方的に渡された」として立件は見送りになる見通しで、事実上、捜査は終結した。被買収の“容疑者”だった地元・広島政界の関係者は冷や汗の日々から解放されるが、受領について一言も発していない議員らもいる。地元では大甘の処分に疑問の声や「受領の事実を認めず、説明責任も果たさないのは卑怯」と批判も聞かれる。

昨年7月の参院選を巡る選挙違反事件は、法相を経験した国会議員夫婦の逮捕に発展した。現職の衆院議員が妻を当選させるため、地元有力者に現金を配って回っていたとされる異例の事件。自民党を離党したものの、議員バッジは着けたまま塀の向こう側に落ちた2人。辞職か失職しない限り、議員報酬は支給され続ける。

自民党の河井案里参院議員(広島選挙区)が当選した昨年7月の参院選でウグイス嬢に法定上限を超える報酬を支払ったとして、公職選挙法違反(買収)の罪に問われた案里氏の公設秘書立道浩被告(54)の判決公判が16日、広島地裁で開かれ、冨田敦史裁判長は懲役1年6カ月、執行猶予5年を言い渡した。公判を巡っては連座制が取り沙汰されているが、事件の関心は既に、自民党本部から振り込まれた選挙資金を有権者にばらまいたとされる案里氏と夫で前法相の克行衆院議員(広島3区)の立件Xデーに移っている。

人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃」の制作会社「ユーフォーテーブル」(東京都中野区)と近藤光社長(50)が法人税と消費税計約1億3900万円を脱税していたとして、法人税法違反と消費税法違反の容疑で東京地検に告発されていたことが判明した。日本が最先端の技術を駆使したコンテンツ、世界に向け急成長したアニメ業界。報道で明らかになったのは、同社の脱税は「売上除外」「金庫に現金」という、驚くほど古典的な手口だった。
