戸田一法
前経済産業相の菅原一秀衆院議員(東京9区)が6月3日、議員辞職した。1日に自民党に離党届、大島理森衆院議長に辞職願をそれぞれ提出。離党届は2日に受理され、辞職願は3日に許可された。菅原氏を巡っては2019年、秘書を通じ有権者に香典などを提供していた問題が発覚。さらに4月、地元の夏祭りで御祝儀を提供した疑惑が浮上していた。菅原氏は「当局から要請があれば誠実に対応する」とコメントしていたが、進退については明言していなかった。

罪を犯した18~19歳の厳罰化を柱とした改正少年法が5月21日、成立した。少年法は凶悪事件が発生する度に厳罰化を求める声が強まり、その度に改正されてきた経緯がある。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に薬物を投与して殺害したとして、医師の男2人が逮捕・起訴された嘱託殺人事件を巡り、驚きの急展開があった。京都府警が12日、父親に対する殺人容疑で医師の山本直樹容疑者(43)、大久保愉一容疑者(43)、山本容疑者の母親の淳子容疑者(76)の3人を逮捕したのだ。先の事件は「安楽死」に執着する大久保容疑者が主導したとみられているが、山本容疑者には共謀するような動機が見当たらなかった。そこが事件の大きな謎だったが、ここにきて少しずつ背景が見えてきた。

テレビで放映された女性アスリートの画像をアダルトサイトに無断で転載したとして、警視庁は著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで、京都府精華町の自称ウェブデザイナー小山幸祐容疑者(37)を逮捕した。この事件を契機に、規制の強化につながる可能性はあるのか。

前経済産業相の菅原一秀衆院議員(自民・東京9区)の公設秘書が選挙区の有権者に香典などを渡していた問題で、東京地検特捜部がこれとは別に菅原氏が選挙区内の夏祭りなどで主催者側に「祝儀」名目で現金を配った疑いがあるとして、任意で事情を聴いていたことが明らかになった。香典などを巡っては、菅原氏が秘書らを通じて現金や有価物を有権者に渡していたとして公職選挙法違反容疑で特捜部の聴取を受けたが、不起訴(起訴猶予)となっていた。その後、検察審査会が「起訴相当」と議決し、特捜部が再捜査していたが、果たして立件される可能性はあるのだろうか。

2020年に全国の警察が大麻事件で逮捕や書類送検した容疑者が過去最多の5034人(前年比713人増)だったことが、警察庁の統計で判明した。摘発された人数は4年連続で最多を更新し、5000人を超えたのは初めて。

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄罪などで起訴された衆院議員秋元司被告(49)の初公判が29日、東京地裁で開かれる。事件の発覚後、秋元被告は贈賄側に裁判で虚偽の証言をする見返りに、現金の供与を持ち掛けたとして証人等買収罪で逮捕・起訴される事態に発展。同罪はマフィアなど国際犯罪組織の摘発を目的とし、テロ等準備罪と併せて導入されたが「適用第1号」が国会議員ということは、永田町や法曹界に衝撃を与えた。

2019年7月施行の参院選広島選挙区を巡る選挙違反事件で、公職選挙法違反(買収)の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)は、東京地裁の公判で23日から始まった被告人質問で、これまでの無罪主張を撤回し、買収を認める姿勢に転じた。さらに「衆院議員を辞する」と表明、25日には大島理森衆院議長に辞職願を提出した。検察側の主張に対して一部に争いは残したものの、完全に白旗を上げた格好だが、狙いは何か、背景を探ってみた。

あおり運転を厳罰化した改正道路交通法が施行された昨年6月30日から12月末日までの半年間で、28都道府県の警察が58件(57人)を摘発したと警察庁が公表した。立件に必要な客観的証拠として、ドライブレコーダーの映像が9割以上の54件で残されており、ドラレコが被害の申告と事件の立証に威力を発揮するツールであることが明らかになった。一方、これだけ社会問題になり、厳罰化された後でもあおり運転が絶えないという憂慮すべき実態がある。

「持続化給付金」をだまし取る詐欺事件の摘発が昨年末から相次ぎ、今年に入って加速している。圧倒的に20代が多く、中には税務署や独立行政法人の国家公務員、有名大学の学生らも含まれる。

2020年に全国の警察が把握した刑法犯は61万4303件で19年から17.9%(13万4256件)減少し、戦後最少となったことが警察庁の犯罪情勢統計で判明した。路上強盗やひったくりなど夜間に多く発生する街頭犯罪が大幅に減っており、新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛が理由とみられる。一方、虐待の疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した子ども(18歳未満)は10万6960人(前年比8.9%増)で、統計を取り始めた04年以降、初めて10万人を超えた。配偶者やパートナーからの暴力被害(DV)の相談や通報も過去最多の8万2641件(同0.5%増)となり、コロナ禍で在宅時間が増えたストレスなども背景にあるとみられる。

鶏卵生産大手元代表が元農相に多額の現金を渡したとされる汚職事件で、テレビや新聞などメディアは連日「アニマルウェルフェア(AW)」というキーワードを軸に報じていた。AWとは「家畜を工業製品のように扱うこと」への批判から発生した英国発祥の理念。国際獣疫事務局(OIE)は国際的な基準作りを進めているが、事件を巡っては、元代表が元農相ら族議員、農水官僚に要件緩和や基準そのものに反対するよう働き掛けていたとされる。国際基準の作成は着々と進んでいるが、適用されたら「物価の優等生」とされてきた鶏卵が国内で高騰する可能性もあるらしい。

交通違反切符を交付した女性の自宅近くをうろついて暴行したとして、強制わいせつ未遂とストーカー規制法違反の罪に問われた北海道警の元巡査部長、谷内章憲被告(41)の判決公判が昨年12月、函館地裁で開かれ、日野進司裁判官は懲役2年4カ月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。「お急ぎのところすみませんが、免許証を拝見」。ありがちなやりとりだが、職権で合法的に個人情報を入手できる警察官。過去にも同様の事件はあり、裏金で示談金を支払い、もみ消していた時代もあった。

マスク着用を巡るトラブルがきっかけで、格安航空会社ピーチ・アビエーション機の乗客だった明治学院大非常勤職員(契約解除手続き中)奥野淳也容疑者(34)=茨城県取手市=が大阪府警に、大学入学共通テストの受験生の男(49、以下、受験生)が警視庁に相次いで逮捕された。

2019年7月の参院選広島選挙区を巡る選挙違反事件で、公職選挙法違反(買収、事前運動)の罪に問われた参院議員河井案里被告(47)の判決公判が21日、東京地裁で開かれ、高橋康明裁判長は懲役1年4カ月、執行猶予5年(求刑1年6カ月)を言い渡した。

東京地検特捜部は15日、農相在任中に業者から現金500万円の賄賂を受領したとして、収賄罪で吉川貴盛被告(70)(※「吉」は正式には上が「士」でなく「土」、以下同じ)を在宅起訴した。しかし「逮捕・起訴」という手続きではなかったため、SNSなどインターネット上には「また出た、上級国民への忖度(そんたく)」「逮捕されないのは池袋暴走事故と同じ理由」などと批判する投稿が相次いだ。では、逮捕しなかったのは本当に「上級国民への忖度(そんたく)」なのだろうか。

吾峠呼世晴氏が『少年ジャンプ』で連載しアニメ化され、映画「無限列車編」で大ヒットしている原作の漫画「鬼滅の刃」を娘に薦められた。筆者も当たり前のように少年時代、ジャンプを読んで育ったので「じゃあ」と手に取ってみた。小さな子どもから大人まで人気と言うが、第1話を読んで戦慄した。平穏に暮らしていた主人公の家族が、妹1人を除き惨殺される…。「これ、小さい子どもが読んでいいの?」。読み進めていくと、きつい描写はあっても、主人公が仲間を増やし、その仲間とともに成長していくストーリーはジャンプの王道。そして、元事件記者として感じたのは「喰(く)うか喰らわないかの違いで、現実の社会に『鬼』はうようよいるよなぁ」だった。

元法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員の選挙違反、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の汚職に絡んだ秋元司衆院議員の証人買収事件を立件した東京地検特捜部(以下、特捜)。年末になり、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会で費用を補填(ほてん)していたとされる問題、鶏卵生産大手グループ元代表による農相経験者に対する現金提供の疑惑も立件に向けた動きが加速し、報道も熱を帯びてきた。今年は久し振りに、特捜が存在感を示した1年だったといえる。

安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した前夜祭の費用補填(ほてん)問題で、東京地検特捜部(以下、特捜)は24日、政治資金規正法違反(不記載)と公職選挙法違反(寄付行為)の両容疑で告発されていた安倍前首相を嫌疑不十分で不起訴とした。後援会代表の配川博之公設第1秘書については、政治資金収支報告書に3000万円余を記載しなかったとして、政治資金規正法違反の罪で略式起訴した。特捜は一連の捜査を終結し、安倍前首相は刑事事件に問われることはなかったが、政治責任を問われるのは必至だ。

36人が死亡、33人が重軽傷を負った昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、京都地検は16日、青葉真司容疑者(42)を殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、建造物侵入、銃刀法違反の5つの罪で起訴した。同日が勾留期限だった。犯罪史上、最も多い死者を出したとされる未曽有の事件は発生から約1年5カ月。裁判員裁判での審理に向けた公判前整理手続きが本格化するが、初公判まで長期化するのは必至だ。
