戸田一法
アニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオ(京都市伏見区、現在は解体)で昨年7月、36人が死亡、33人が負傷した放火殺人事件で、京都府警捜査本部は27日、殺人や殺人未遂、現住建造物等放火などの疑いで、さいたま市見沼区の無職、青葉真司容疑者(42)を逮捕した。事件発生から約10カ月が経過し、事件は大きな転機を迎えた。犯罪史上、例を見ない大量殺人事件の捜査は今後、動機の解明が焦点になる。

検察庁法改正案を巡る最中、黒川弘務前東京高検検事長と産経新聞・朝日新聞の記者らと賭け麻雀とハイヤー送迎問題が週刊文春のスクープにより表沙汰になった。新型コロナウイルス感染拡大が問題化している中で「3蜜」の麻雀は、世間の顰蹙(ひんしゅく)を買った。では、権力者側とマスコミの麻雀というのは驚くことなのか。元・接待した側のマスコミ当事者だった筆者が振り返る。

日本高等学校野球連盟(日本高野連)は20日、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンラインで第102回全国選手権大会の運営委員会と理事会を開催し、8月10日から予定されていた夏の甲子園大会の中止を決めた。夏の甲子園が中止されるのは戦後、初めてとなる。

昨年7月の参院選を巡る河井案里参院議員(広島選挙区)派の選挙違反事件で、広島地検は大型連休中に案里氏と夫で前法相の克行衆院議員(広島3区)を任意で聴取した。秘書の事件は既に初公判が開かれたが、その後も東京と大阪の両地検特捜部などが応援に入り捜査は継続。この間、克行氏が県議や市議、自治体首長ら十数人に現金をばらまいていた疑惑が浮上した。法相経験者の逮捕という前代未聞の展開はあり得るのか。検察当局の威信を懸けた捜査は大詰めを迎えた。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府は17日、所得制限を設けず1人当たり一律10万円の給付を決めた。支給の時期は5月、手続きは市区町村の窓口ではなく郵送やインターネットで実施される方向で、対象は「国民」(安倍晋三首相の記者会見)だけでなく在留外国人らも含まれるとみられる。一方、全国の消費生活センターに寄せられた新型コロナウイルスに関連する特殊詐欺などの相談が1万件を超え、警察が警戒を強めている。

無罪を訴えていた女性は判決前「真っ白な判決を求めたい」と願いを口にしていた――。滋賀県東近江市の病院で2003年、男性患者(当時72)の人工呼吸器を外して殺害したとして殺人罪で懲役12年が確定・服役した元看護助手の西山美香さん(40)の再審判決公判が31日、大津地裁で開かれ、大西直樹裁判長は二度「被告人は無罪」と繰り返し言い渡した。裁判長が主文を繰り返し口にするのは異例だ。西山さんの服役中から確定証拠に対する数々の矛盾点が浮上し、自白した調書も「でっちあげの作り話」とさえ指摘された事件。検察側は新たな立証をせず、無罪は確実視されていた。

「どうか佐川さん、改ざんの経緯を、本当のことを話して」――。学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元近畿財務局上席国有財産管理官、赤木俊夫さん(当時54)が自殺に追い込まれたのは、佐川宣寿元国税庁長官(62)の指示で決裁文書改ざんを強制され精神的に追い詰められたためとして、赤木さんの妻が18日、国と佐川氏に計約1億1000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。この訴訟の真の狙いは賠償金ではなく、あくまで「真相の究明」だ。妻の代理人弁護士は記者会見で「手記に記録されている全財務官僚を証人として出廷を求める」としており、刑事で立件されなかった不法行為が民事で明らかにされる可能性が出てきた。

「私はいまレバノンにいる」――。無罪を主張しつつ、正々堂々と法廷で争うことなく日本から逃亡した元日産会長カルロス・ゴーン被告(66)=金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの罪で起訴=。日本政府は国際刑事警察機構(ICPO)を通じレバノンに身柄拘束を要請しているが、レバノン側は否定的な姿勢で、日本で公判が開かれる見通しは立っていない。一方で主役不在ながら、行政処分は既にゴーン被告の不法行為を認定し、司法も脇役(共犯)の公判で有罪を追認する可能性がある。

「お父さんにぼう力を受けています」――。千葉県野田市で2019年1月、長女の小学4年栗原心愛(みあ)さん(当時10)を虐待の末に死亡させたとして傷害致死などの罪に問われた父勇一郎被告(42)の判決公判が19日、千葉地裁で開かれ、前田巌裁判長は懲役16年(求刑・懲役18年)を言い渡した。

神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(30)の判決公判が16日、横浜地裁で開かれ、青沼潔裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。障害者に対する差別的な偏見が大量殺人の動機とされた過去に例を見ない事件。植松被告は最終意見陳述でも重度障害者への差別的な考えを主張した上で「どんな判決でも控訴しない」と自説を曲げなかった。

昨年7月の参院選で初当選した自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=の選挙を巡り、広島地検は3日、運動員に法定上限を超える報酬を支払ったとして、公職選挙法違反(買収)の疑いで、案里氏や夫で前法相の克行衆院議員(56)=自民、広島3区=の公設秘書ら3人を逮捕した。新聞・テレビは「連座制適用で案里議員が失職か否か」を焦点にしているが、永田町や霞が関、平河町はそんなことに無関心で、もっぽら「官邸vs検察」の行方に注目している。

また大物芸能人が薬物犯罪で刑事被告人になることになった――。東京地検は4日、覚せい剤と危険ドラッグ「ラッシュ」を所持していたとして、覚せい剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法違反(同)の罪で、シンガー・ソングライター槇原敬之容疑者(50)を起訴した。槇原被告は1999年にも覚せい剤取締法違反の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けており、再犯で有罪判決となれば実刑の可能性も指摘される。

神戸市教育委員会は2月28日、市立東須磨小学校の教諭4人が後輩の教諭に暴行や暴言などを繰り返していた問題で、弁護士3人の調査委員会が多数の悪質な嫌がらせを認定した蔀俊教諭(34)と柴田祐介教諭(34)を免職、女性教諭(45)を停職3カ月、男性教諭(37)を減給10分の1(3カ月)とする懲戒処分を発表した。兵庫県警は暴行容疑などで詰めの捜査を進めており、4人は近く書類送検されるとみられる。

小4女児・心愛さん虐待死事件で父親初公判、不可解な弁明の真意とは
「未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい」――。死亡する3カ月前、自分への手紙をしたためていた小学4年の栗原心愛(みあ)さん(当時10)。そんなささやかな願いを断ち切ったとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の初公判が21日、千葉地裁(前田巌裁判長)で開かれた。罪状認否で「罪は争わない」としたものの「飢餓状態にしたり冷水をかけたりしていない」と、死亡に至らしめた行為を否認するなど不可解な弁明を展開した。

国や大阪府、大阪市から補助金計約1億7000万円余をだまし取ったなどとして、詐欺と詐欺未遂の罪に問われた学校法人森友学園の前理事長籠池泰典被告(67)と妻の諄子被告(63)の判決公判が19日、大阪地裁で開かれ、野口卓志裁判長は籠池被告に懲役5年(求刑・同7年)、諄子被告に懲役3年、執行猶予5年(求刑・同7年)を言い渡した。両被告は控訴するとみられる。

大津市で昨年5月、車2台が衝突した弾みで散歩中の保育園児の列に1台が突っ込み、園児2人が死亡、園児と保育士計14人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの罪に問われた新立文子被告(53)の判決公判が17日、大津地裁で開かれ、大西直樹裁判長は禁固4年6カ月を言い渡した。

総務省がふるさと納税の制度から大阪府泉佐野市を除外したのは違法として、同市が取り消しを求めた訴訟で、大阪高裁は1月30日、訴えを棄却する判決を言い渡した。豪華な返礼品やギフト券を贈ることによる寄付集めの是非を巡る初の司法判断。佐村浩之裁判長は「泉佐野市が提供する返礼品は突出して極端で、寄付という法的枠組みの範囲内に是正すべきだった」などとし、法の趣旨に沿った寄付の募集をした他の自治体に多大な影響を与え「不適切な方法で極めて多額の寄付金を得た」と判断した。泉佐野市は判決を不服として上告する方針だ。

途方もない巨額の着服事件が発覚した。住友重機械労働組合連合会の積立金年金を着服したとして、警視庁捜査2課が元会計担当書記の田村純子容疑者(60)を業務上横領容疑で逮捕、東京地検は28日、田村容疑者を起訴した。

日本の司法制度に不満を訴え、無罪を主張していたゴーン被告。しかし、結果的には戦わずして逃げたことになり、検察側にとっては「不戦勝」になる可能性が濃厚だ。何とも煮え切らない幕引きになりそうだが、一方で「本音では(検察側は)ほっとしている部分もあるのではないか」と指摘する声も聞かれる。

大阪・ミナミの繁華街、心斎橋で2012年6月、男女2人を無差別に刺し殺したとして殺人罪に問われた礒飛京三被告(44)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は検察側と弁護側双方の上告を棄却した。裁判官5人の全員一致の判断で2日付。検察側、弁護側双方から訂正の申し立てがなかったため、刑事訴訟法の規定に基づき10日間の訂正申し立ての期間を経たため、1審大阪地裁裁判員裁判の死刑判決を破棄し、無期懲役とした2審大阪高裁判決が確定したとみられる。
