清水克彦
「他人の意見を聞いたら決める人物になりたい」。岸田文雄首相が地方紙の幹部を前にこのように語ったのは、4月19日の夜のことだ。岸田首相は、5月19日から地元・広島で始まるG7サミット、そしてその後の政権運営に向けて、腹をくくった感がある。

筆者は本稿を沖縄県石垣市のホテルで書いている。海開きのシーズンを迎えた先島諸島の石垣島に、3月16日、初めて陸上自衛隊の駐屯地が開設され、「地対艦ミサイル中隊」など570人規模の部隊が配備されたからだ。さっそく平得大俣地区にできた駐屯地を訪ねてみた。

「近頃、永田町でよく耳にするのが、『習近平の毛沢東超え、岸田文雄の安倍晋三超え』という言葉です」。筆者にこう語るのは、元共同通信編集局長で政治ジャーナリストの後藤謙次氏だ。習近平総書記と岸田首相ともに、大きな誤算に直面している。

1月23日に通常国会が召集され、与野党の論戦が本格化している。当面は、来年度予算案の審議が軸だが、その焦点となるのが、岸田文雄首相が「異次元」と位置付けている少子化対策と防衛費の増額問題だ。これらは、増税という形で国民の暮らしに直結する可能性があるのと同時に、岸田政権の今後を大きく左右するからである。こうした中、今なお永田町をざわつかせているのが、菅前首相による岸田首相批判だ。

共和党のシンボルカラーは赤。民主党は青。11月8日(日本時間同9日)に行われた中間選挙は、事前の予想ほど「赤い蜃気楼(しんきろう)」は広がらず、民主・共和両党ともに「勝者も敗者もいない結果」となりつつある。

北朝鮮が4日に同国内陸部から発射した弾道ミサイルは、日本の東北地方上空を通過し、太平洋上の日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したとみられる。北朝鮮は核実験まで、すでに秒読み段階でもある。日韓政権の支持率が急落する中、東アジア情勢は危機的な状況になりつつある。

この秋、岸田文雄首相、ジョー・バイデン大統領、そして習近平総書記と、日米中3カ国の首脳が正念場を迎える。3人のうち、最も先が思いやられるのが岸田首相だ。その最大の要因は、安倍元首相の呪縛である。

閉会中の国会は、国会議員と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係、とりわけ、第2次岸田改造内閣の中から、大臣、副大臣、政務官を合わせて30人もの政治家が、教会側と接点を持っていたことが判明したことで、来月下旬以降に召集が予定される臨時国会では、この問題と、感染拡大が続く新型コロナウイルス対策が大きな論点となりそうだ。しかし、忘れてはならないのが来年度予算案編成だ。なかでも最大の焦点は防衛費の増額問題である。

ロシアによるウクライナ侵攻から4カ月がたとうとする中、中国の習近平総書記とロシアのプーチン大統領が行った6月15日の電話会談は、国際社会に波紋を広げた。6月15日は、習近平総書記の69歳の誕生日である。また、ベルギーの首都、ブリュッセルでは、NATO国防相会談が開かれ、ウクライナへの支援やヨーロッパ東部の防衛強化に向け協議を始めた日でもある。

5月20日から24日まで韓国と日本を歴訪した、アメリカのバイデン大統領。韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領や日本の岸田文雄首相との首脳会談で得られた答えは、ロシア以上に中国を警戒するアメリカにとって、ほぼ満額回答と言っていい内容となった。

1991年の湾岸戦争以降、ボスニア紛争、アメリカ同時多発テロ事件、そしてイラク戦争と、歴史に残る戦争や紛争を取材してきた。それらの経験則から言えることは、「戦争当事国に勝者はいない」ということである。2月24日に始まったロシアとウクライナの戦争だが、この先、どちらが優勢になろうとも、両国ともに勝者とはなり得ない。では、誰が勝者となるのか。

2月22日、自民党の外交部会長、佐藤正久は党の会合で、報道陣を前に、「今日のウクライナを、明日の台湾にしては絶対いけない」と強調してみせた。ロシアのウクライナ侵攻は、本当に中国による台湾侵攻を誘発するのだろうか?

2月4日、北京オリンピックの開会式に先駆け、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は釣魚台迎賓館で首脳会談に臨んだ。開会式は、バッハ会長の長い挨拶とは裏腹に、中国&ロシアチーム(専制主義の大陸国家群)とアメリカチーム(民主主義の海洋国家群)に色分けする式典となったのである。

アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席のオンライン会談が行われた。冒頭だけ見れば、関係改善にいささかの期待感を抱かせたが、予想どおり話し合いは平行線で終わった。いや、対立がより顕在化したと言ってもいい。

衆議院が解散され、10月31日の投開票日に向けて激しい選挙戦に突入した。その争点は、第6波に備えた新型コロナウイルス対策や景気全体の底上げ策が中心になる。それと同時に、安倍・菅政権時代の政治手法や「政治とカネ」の問題も問われることになる。いずれも重要な争点だが、仮にも政権選択選挙である以上、もっと大きなテーマ、つまり、有事への備え(ウイルスや自然災害だけでなく他国による脅威に対する危機管理能力)も見ておく必要がある。その代表格が中国を想定した外交安全保障政策である。

9月29日、自民党総裁選挙で、岸田文雄氏が新総裁に選出された直後、筆者は、主だった議員の感想を聞こうと、投開票の会場となったホテル内で、ぶら下がり取材(囲み取材)を続けた。その中で、高市早苗政調会長を支持した稲田朋美元防衛相(細田派)は、筆者の問いに、「岸田さんは安全保障問題でも思いを共有している方です」と述べ、勝利への祝意を示した。

今年4月より施行された改正「高齢者雇用安定法」。それにより、定年が65歳以上70歳未満に引き上げられるなど、シニア世代の働き方が大きく変わろうとしています。さらに、コロナ禍で新たな生活様式への変化が加速化している中、従来の価値観や常識に縛られていては体も心も長持ちしないでしょう。社会構造が変化している今こそ、自分をすり減らしてしまうそんな日々から自由になるチャンスなのです。そこで今回は、政治・教育ジャーナリストの清水克彦さんの新刊『人生、降りた方がいいことがいっぱいある』(青春出版社)から、定年後の「働き方」との向き合い方を抜粋し紹介します。

今年4月より施行された改正「高齢者雇用安定法」。それにより、定年が65歳以上70歳未満に引き上げられるなど、シニア世代の働き方が大きく変わろうとしています。さらに、コロナ禍で新たな生活様式が加速化している中、従来の価値観や常識に縛られていては体も心も長持ちしないでしょう。社会構造が変化している今こそ、自分をすり減らしてしまうそんな日々から自由になるチャンスなのです。そこで今回は、政治・教育ジャーナリストの清水克彦さんの新刊『人生、降りた方がいいことがいっぱいある』(青春出版社)から、会社員の「競争社会」から降りて豊かに生きる考え方を紹介します。
