農家を襲う2つのリスク
どんなに技術が進んだとしても、農業には台風や豪雨、豪雪など自然リスクがつきもの。
そして、今は流通が進み、グローバル化したことで、国内の他地域だけでなく、他国の農業状況(供給過多による価格暴落)などの市場リスクも大きくあります。
これらの自然リスク、市場リスクは大規模化が進んでいればいるほど、もろに影響を受けます。
こと農については、大規模単一作物農業は、作業効率はいいかもしれませんが、高リスクとも言えます。
小さな畑での多品種栽培は、一見、作業効率は悪いかもしれませんが、自然リスクの分散になり、経済効率という意味で実はとても高くなっています。
「日本一小さい農家」である、わが風来(石川県能美市)では、少量多品種で小さい畑に年間50品種以上の野菜を育てています。
そして「晴耕雨読」ならぬ「晴耕雨漬け」ということで、晴れた日には畑に、雨の日は漬物を漬ける集中日にしたりと、日々リスク分散をしています。
このように、百姓的農業は、天候によってこちらがフレキシブルに対応することで時間の無駄も少なくなります。
また、「百姓」がいろいろなことをするのが当たり前だった背景には、年貢がありました。
江戸時代、米というのは通貨そのものではありませんが、実際には貨幣的な役割も果たしていました(特に、江戸中期以降は米本位経済とも言えるほどに)。
そんなこともあり、農家は米を確実に納めなければなりません。でも、残された米で一家が食べていくのは大変なので、縄を編むなど他に換金できる手段を持つことや、雑穀や野菜など他の自給用の食を育てることが必要だったのです。
現在の日本は、就業人口において会社員比率が8割を超えています。
もし勤めている会社の給料だけしか生活の糧がないとしたら、とてもリスクが高いと言えるのではないでしょうか?