結論から書く。美人はラーメンが好きだ。ラーメンには「美人のもと」が含まれていると思われる。

  一方、ラーメンは「美人のもと」を失う危険性も高い。食べ方が悪いと一気に失うのである。大事なことは、ラーメンが「好き」ということだ。

  ラーメンは人気のメニューだ。ラーメン店ランキングが載った雑誌は頻繁に見かけるし、テレビでもラーメンの話題は毎日のように取り上げられる。その分、奥が深いようで、作法にもいろいろあるようだ。

  別にそういう作法を学ぶ必要はない。一生懸命食べればいい。「好き」を表す。それだけ。つまり「食べ方が悪い」というのはその一生懸命が足りない、「好き」が表現できていないということだ。

  ラーメンは出てきた瞬間が一番おいしい。最高の状態だ。「好き」なら最高の状態でいただきたい。できるだけ速く。よく噛んで食べることは重要なのだが、急ごう。慌てよう。熱いけれど、それを楽しもう。「私猫舌なの」と言っている暇はない。そもそも話すことも減らすべきだ。ラーメンへの好意に集中しよう。友達との会話は食べた後にする。

  ラーメンにおける問題。すする音の問題はどうするか。実は速度を上げて食べると心地よいツルツルツルという音になる。この心地よい音を耳にしたらその人を見るといい。たいてい美人だ。

  気になるズルズル音が聞こえたら、そちらを見てみよう。たいてい右手に箸を持ち、同時に左手にレンゲを持っている。両手を器用に動かして、レンゲの中で「小さなラーメン」をつくってから食べている。その慣れた作業は芸術的ではあるのだが、その芸術家は「美人のもと」を失いかけていることが多い。つまり「小さなラーメン」づくり名人に美人ナシである。ラーメン好きなら芸術に走らない。美人は意外とレンゲ使いが下手だ。箸を置いて、右手に持つ。スープをしっかりすくうのだ。

  食べた後、これが最も重要。芸術家はフェイドアウトしてしまう。いつまでもスープや具をかき混ぜたりしながら、なんとなくレンゲと箸を置く。終わったかと思うと友達とのタイミング調整のためにまた残りをいじり始める。そしてダラダラと終わる。一方、美人は潔い。カットアウト。終わりの瞬間がはっきりしている。箸を置き、顔を上げる。一生懸命食べていた顔が一気に笑顔になる。この笑顔が最高に美しい。きっとそれが「美人のもと」なんだろう。