「言うことを聞いてくれないんじゃないか」「自分の存在を軽んじられる」「自分を管理職として認めてもらえないんじゃないか……」という恐れが、男性に対して働いてしまうという。

 また経験不足だけではなく、自信のなさそのものが女性の特徴だという捉え方もある。たとえば、重要な仕事や任務を任されるとき、男性の場合は60%も準備できていなくても、「やれ」と言われたら「いきます」と言う人が多い。しかし女性の場合は、ほとんどの人が「準備が100%できないと受けられません」と言うことが多いのだ。自信が持てないのは、女性が慎重派であるがゆえと言える。

 そんな女性に対して、太田氏はこうアドバイスする。

「100%準備が整うことはまずあり得ないので、『世の中の誰もがそこまで準備していない』と、背中を押してあげてもいいような気がしますね。そもそも人間は、難しい課題にチャレンジしなければ大きく成長しないので、準備ができるのを待っていると、逆にいつまで経っても管理職になる準備ができない、ということになりかねません

 女性管理職の最大の課題は「自信がないこと」だが、ではそんな管理職に対して、男性の部下は “やりづらさ”を具体的にどう感じているのだろうか。

「感情的になるから付き合いづらい」
と言われる女性管理職を生物学的に捉える

女性限定の管理職研修の場で、課題や抱負を話し合う参加者たち。管理職として「自信が持てない」という女性が、日本企業には少なくない

 太田氏が男性からヒアリングして圧倒的に多かったのが「女性上司は感情的になるから嫌だ」という意見だったという。この意見に頷く男性読者も多いのではないだろうか。しかし、男性でも感情的になる上司は多く存在する。太田氏は男性との違いをこう語る。

「男性の上司が感情的になって怒鳴っても、一般的に“力強い”という捉え方をされる傾向があるように思います。同じように女性が言った場合は、ヒステリーとか感情的だとか言われてしまうのです」

「女性上司が感情的になる」といった問題は、日本だけでなく、女性活躍の先進国とも言える米国にもあるという。太田氏が出席した米国の人材育成カンファレンス「ATD2016」でも、「女性は感情的に物事を表現すると見られがちなので、意識して論理的フレームに沿って伝えると良い」といったプログラムが紹介されていたそうだ。

 これは、生物学的な性差の問題で、ホルモンの分泌も関係していると言われている。太田氏は「女性のほうが右脳と左脳をつなぐ脳梁が太く、情報交換をしやすいため、感情が先に出やすい傾向があるのかもしれない」と語る。