だが、「野党共闘は万年野党への道」である(第136回)。民進党が共産党と近づけば、日本のサイレントマジョリティであるサラリーマンなどの「中流」(第115回・下・p3)の支持を得られなくなるのは明らかだ。

 代表選では、3候補とも政策面で安倍政権との違いを出そうとはしていた。いずれも、金融緩和・公共事業拡大のアベノミクスを批判し、子育てなどへの分配政策や教育など人への投資を重視していた。しかし、それらの政策の財源をどうするのか、毎年1兆円ずつ増加する社会保障費にどう対応するのかについての答えは、結局曖昧なままだった。特に、財務省出身であるはずの玉木氏が最も財源についてはいい加減で、子育て支援を拡充するため「子ども国債」を発行すべきと主張していた。

 玉木氏が、子ども・将来世代に言及したことは悪いことではない。だが、将来世代が大事だと言いながら、国債発行で将来世代の借金を増やすというのはおかしな話だ。将来世代が大事ならば、現役世代が身を削ってでも税金をしっかり払い、将来の借金を減らすべきではないか(第122回)。「高齢者のための増税」ではなく、「将来世代のための増税」を打ち出すことが、安倍政権への本当の対立軸となるのだ(第126回)。

 野田佳彦元首相の派閥である蓮舫氏、消費増税決定時に党政調会長だった前原氏、財務省出身の玉木氏は、財政再建に問題意識を持っているはずだ。だが、おかしなことに代表選で誰も財源問題に踏み込まなかった。それは、端的に言えば、共闘を組む共産党に引きずられているからだ。

民進党は、「安倍一強」の落とし穴を突いて
「憲法9条」の政局で自公分断を画策すべし

 何度でも繰り返すが、民進党が共産党と共闘することは、「万年野党への道」である。しかし、代表選では、3候補がすべて「中道右派」の政策志向の政治家であるにもかかわらず、はっきりと共闘をやめると言い切る者はいなかった。選挙で勝つには、「固定票を持つ中規模ネットワーク型政党」と組む戦略が有効だと考えているからだ。

 筆者は、その戦略自体を否定はしない。しかし、民進党が政権を再び目指すならば、共産党との関係は絶つべきだ。その代わり、もう1つの「固定票を持つ中規模ネットワーク政党」と連携する道を模索するべきだと考える。

 もう1つの中規模ネットワーク政党とは、「公明党」のことである。自公政権の一角を占める公明党と民進党が連携するというのは、現時点では「荒唐無稽な話」と思われるのは仕方がない。だが、日本政治の歴史をたどれば、55年体制下では、公明党と民進党の前身の1つである民社党との間で「中道主義」による連携が成立していた。自公政権が誕生するまでは、地方組織でも両党は密接な関係を構築していたのだ。