なぜ、現代人には「集中力」がなくなってしまったのか
マインドフルネス瞑想の方法をひとことで言うと、「評価や判断を加えずに、いまここの経験に対して能動的に注意を向けること」だ。
その方法は、呼吸に意識を向ける「マインドフルネス呼吸法」、目の前の食べ物や食べているときの感覚に注意を向ける「食事瞑想」、ストレスを受けたときの自分を観察し、ストレスの原因を一つの文にしてみたうえで呼吸に注意を向ける「ブリージング・スペース」など様々あるが、詳しいところは本書をご覧いただくとして、ではこのマインドフルネス瞑想によって脳を休めた結果、どういった変化が期待できるかというと、大きく以下の4つだ。
・集中力の向上
・感情コントロール力の向上
・自己認識への変化
・免疫機能の改善
この中で私が一番惹かれたのが「集中力の向上」である。
コンピューターなどの発展で、昔に比べれば仕事量が膨大になった現代人は、いつどこにいても仕事をし、手を動かしながら考え事をし……、といった状態に慣れてしまっている。しかし、そうやって一度に2つ以上のことを進める効率性の取得と引き換えに、実は失っているものがある。それが集中力だ。
実際、常に様々な仕事に追われ、平行状態でこなしている私は、原稿を打っていてもすぐやる気がなくってコーヒーを飲みに行ったり、企画の打合せ中も15分もすると集中力を失いまったく別の関係ないことを考え始めたりしてしまう。
効率良く仕事をしたいと思っているのに、実は普段の行動が原因で集中力が低下し、かえって効率を下げているのだとしたら、まさに本末転倒だが、同様の状態に頻繁に陥っている人は少なくないだろう。そんな人はぜひ、本書を一度読んでいただきたい。
そしてマインドフルネスは、仕事においてに限らず、おそらく子どもの教育やスポーツにおいても効果を発するのではないだろうか。
就学年齢の子どもにマインドフルネスを実践させ、集中力向上につなげられたら、勉強や様々なシーンにおいて大きな成果を生むに違いない。子どもがまだ小さいうちはマインドフルネス瞑想を行わせることは難しいかもしれないが、下記のような環境を親が作ってあげることで、マインドフルネスの基本方法である「今ここに注意を向ける」を実践させることは可能だ。
・オン・オフの切り替え儀式を持つ(特定の音楽を聴く、シャワーを浴びる等)
・自然に触れる
・美に触れる
・没頭できるものを持つ etc.
マインドフルネスは子どもの反抗期に効果があるという報告もされているので、子育てがうまくいかず悩んでいる人は、マインドフルネスを試してみるのも一つの手だろう。