毎日の習慣で「疲れない脳」を手に入れる

 またスポーツでは、極度に集中が高まり好記録を出すことがあるが、この集中力の高まる状態になることをZONEと言う。マインドフルネスは、脳を休めて集中力を高まらせ、ZONE状態に入りやすくしてくれる効果も期待できそうだ。

 実際、名プレイヤーたちにはマインドフルネスに注目している人も多いようで、テニスの世界ランク1位のジョコビッチ選手や、バスケの神様と言われるマイケル・ジョーダンなども、瞑想トレーニングを実践していたことが知られている。

 このように、マインドフルネスによってもたらされる効果は計り知れないのだが、さらに嬉しいのは、脳は習慣づけによって変わる性質を持っているので、マインドフルネス瞑想を続けていれば、そもそも“疲れにくい脳”に変えていくことが可能だということだ。

 私事で恐縮だが、私は姉がアメリカ人と結婚しアメリカで暮らしていることもあって、年に2回アメリカを訪れている。これは家族に会うことも目的だが、何より、脳が休まるのを感じていることも大きい。

 現にアメリカから戻ると私の脳は劇的に元気になっており、やる気が起きずダラダラといつまでも仕事に着手しないといったことがないし、集中力もアップしていて作業スピードも速くなる。

 マインドフルネスについて学んでみると、これはおそらく、外国に行くことで目の前に飛び交う言葉や環境が大きく変わり、「今ここの経験に対して注意を向ける」ようになり脳の疲労が取れる、という原理なのだろう。

 とはいえこれは一時的な回復であるから、日常に戻って1週間もすれば、また脳は疲労してくる。そしておなじみの、集中力なくダラダラと仕事をする自分に逆戻りしてしまう……。

 しかしマインドフルネスを習得すれば、この帰国後の状態が、常に維持できるようになるかもしれない。そう思い、本書の読後から毎朝、目覚めた直後に5分だけ呼吸瞑想を実行し始めた。

『最高の休息法』によると、瞑想は長く続ければ続けるほど効果が出るとのことだが、果たして結果はどう出るか……、楽しみである。
(文/山本奈緒子)