今年6月に放送されたNHKスペシャル『シリーズ キラーストレス』の中でも、世界が注目する「最新ストレス対策」と紹介されたり、日本でも全国の少年院で更生教育に活用する動きが出てきたりと、昨今話題となっている「マインドフルネス」。そんな「マインドフルネス」を脳科学を用いて紹介した『最高の休息法』は、発売から瞬く間に5万部を突破。東洋思想でも瞑想だけでもない、最新科学で解明されたその中身とは?

世界の成功者たちが実践する「脳の休息法」

 最近、頻繁に耳にするようになった“マインドフルネス”という言葉。私もこれまでマインドフルネスに関する記事を書くべく、多くの本や記事資料を読み、実際に様々な体験もした。

 その結果、何となく「脳科学にもとづき瞑想を取り入れた休息法なのだな」ということはつかめたのだが、どの資料もスピリチュアルなものではないことを伝えようとするあまり要点がつかみにくかったり、脳科学にもとづいたものであることを強調しようとするあまり難解すぎたりで、習得に非常に苦労した。

 ところが『最高の休息法』を読んだとたん、一瞬にして「つまりマインドフルネスってこういうことね」と呑み込めてしまったのだ。今まであれほど時間もエネルギーも割いてきたというのに……。

 マインドフルネスとはひとことで言うと、「瞑想などを通じた脳の休息法の総称」である。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズが瞑想の実践者だったことは知られているが、その瞑想をもとに、世界的企業・グーグルがマインドフルネスプログラム「SIY(Search Inside Yourself)」を考案し導入したことで、一躍多くの人の注目を集めるところとなった。

 今やフェイスブック、大手医療機器保険会社のエトナなども導入しているだけでなく、ツイッターの創業者、エヴァン・ウィリアムズやリンクトインCEOのジェフ・ウェイナーなど、錚々たる起業家やエグゼクティブもマインドフルネス瞑想を実践し始めている。

 ではそれほどまでに広まりを見せているマインドフルネスの効果は何かというと、それは「脳の休息」だ。

『世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』久賀谷亮・著 ダイヤモンド社刊 1500円+税

 競争や責任といった様々なプレッシャーにさらされる現代人は、休息をとるため多大な時間とお金を使ってリゾート地へと旅をするが、それによって取り除けるのは肉体的な疲労であって、実は脳の疲れは取れていないことが多い。

 脳が疲れたままだとどういう状態になるかというと、注意散漫、無気力、怒りなど最悪のものばかりだ。しかし脳には脳の疲労の取り方というものがあり、いくら体だけ休めたところで意味がないらしい。

 その脳を休める“技術”の習得法を授けているのがマインドフルネスであり、私の知る限り、それをどこよりも分かりやすく解説してくれているのが『最高の休息法』なのだ。