慢性的な頭痛に悩まされている日本人は約4000万人。そのうち、約2000万人以上が緊張型頭痛に、約840万人が片頭痛に悩まされている。
ところが、「多忙のために、医療機関を受診する時間もなく、日々、頭痛と闘いながら仕事をこなしている頭痛持ちの人たちに、『生活上のちょっとしたコツで、頭痛は消える、防げる』と言っても、すぐには信じてもらえません。しかし、専門家の目でみなさんの日常を見てみると、これでは、頭痛が起きても仕方がないとため息をつきたくなるような生活をしている人が、ほとんどなのです」と語るのは、9月30日発売『頭痛は消える。』の著者であり、頭痛治療のエキスパート・清水俊彦氏(東京女子医科大学 頭痛外来)。
科学的なデータとこれまでに治療してきた約200万人の体験談から抽出した選りすぐりの「頭痛を起こさない58の生活習慣」を、7つの生活シーンに分けてご紹介。その中から各2項目を7回にわたって連載。
片頭痛の人は刺激的なにおいに注意
元来、日本人は「香り」にあまり慣れ親しんでこなかった民族と言われており、これが、欧米人に比べて、日本人が香水やタバコのにおいに過敏に反応する理由のようです。
光、音、におい――この三大刺激に、とくに片頭痛持ちの人は注意を払いましょう。
片頭痛は、大脳の後ろにある後頭葉の過敏性の高さから起こります。
まず光に反応し、これが悪化すると、この過敏性が側頭葉の音の中枢に波及して、片頭痛を誘発するようになります。
においの中枢は、前頭葉の底面に広く存在するとされていますが、においに敏感に反応して頭痛を起こす人は、後頭葉からの興奮性が前部まで波及してしまうぐらいの、かなり悪化した手ごわい片頭痛持ちの人と言えるのです。
したがって、タバコはもちろん、香水や芳香剤などの強い香りをかぐと、一気に片頭痛が誘発されやすいのです。
さらに、エスニック系の刺激的な香辛料のにおいも、頭痛持ちの人にはよくないと言えるでしょう。
一般的に、ハーブ系のラベンダーや柑橘類の香りは、頭痛をやわらげるとされています。しかし、広い室内ならまだしも、車内のような狭い空間での芳香剤の使用は、頭痛を悪化させる傾向が強いようです。
また、洗濯用の柔軟剤にはいろいろな種類の香りがあり、とくに雨の日の満員電車内では、水分を含んだ衣服から通常よりも強く香りが発せられるため、いつも以上に脳を刺激します。
これに、“おやじ臭(加齢臭)”が加わった日には「一気に頭痛が起こる」と訴えるOLの患者さんはたくさんいます。こういう場合には、せめてマスクでにおいを防御しましょう。
●ポイント:エスニック料理の刺激的なにおいにも、ご注意