株式投資で有効とされている投資手法やアノマリーは本当に機能しているのか?データで検証してわかった驚きの結果をまとめた書籍『ロボット運用のプロが分析してわかった 最強の株式投資法』の著者・加藤浩一さんによる連載です。第4回目の今日は、「投資戦略を決めるときに、何を重視すべきか」について解説します。
プロは、勝率よりも「PF」を見ている
優れた投資戦略とは何か?
こんな問いかけをすると決まって「勝率の高さ」を条件に挙げる人がいますが、投資戦略の良し悪しに、勝率は関係ありません。
逆説的になりますが、株式投資では勝率100%の投資戦略を実現するのはカンタンです。
何も難しいことはありません。
決済しなければ勝ちも負けも確定しませんから、どんなに含み損が膨らもうが、損切りしなければ「負け」にはなりません。
そして、少しでも含み益になったものは、早々に利益確定してしまいます。
買値より1円でも増えて終われば、勝ちは勝ち。そして1勝でも出来たら「勝率100%」の出来上がりです。
もちろん、みなさんが求めているのはそんなインチキくさい投資戦略ではないでしょう。ところが、実際に高い勝率を謳う投資戦略には、こうした手法が含まれているものが少なくないと感じます。
投資戦略においてもっとも重視すべきは、勝率よりも「資産がどれだけ増えるか」です。
そこで、みなさんには、投資戦略の良し悪しを判断するときに、「勝率○%」や「○勝○敗」に代わる、新たな指標を知っていただきたいと思います。
それが「プロフィットファクター」(PF)です。聞き慣れない用語かもしれませんが、とてもシンプルに計算する指標です。
PF=総利益÷総損失
たとえば、ある投資戦略を一定期間やってみた結果、勝ちトレードの総額が100万円、負けトレードの総額が100万円であれば、PFは「1」になります。
1を上回るほど儲けが大きくなり、下回るほど損失が大きくなります。
これからは、いかにPFが1を上回る投資戦略を見つけるかが、みなさんのテーマになります。