目線を合わせたらコミュニケーションもうまくいく

 私が営業部長だったときに、部下に非常に優秀な若手の店長がいました。

 でも彼の店ではチーム内のコミュニケーションがうまくいかず、成績もよくありませんでした。

原因は彼が部下のすることを自分の目線で見てしまったことです。

 評価する基準が自分なので、部下がやることなすこと全て、自分より劣っていると感じてしまい、否定の言葉を投げかけてしまいます。

 部下にしてみれば、実績を残している人が正論を言っているので、反論の余地はありません。しかし、いくら正論でもいちいち小言を言われればストレスが溜まってしまいます。そういったことが積もり積もって、チームの関係悪化につながっていました。

 私はその店長に、「プライドを捨てないとダメ。自分と部下が同じと思ってはいけないよ」とアドバイスをしました。

 それから店長は、私のアドバイスを聞いてくれて、ガラッと変わりました。

 ショールームの飾り付けなど、面倒で誰もやりたがらない仕事、年次の低いスタッフがやる仕事を、自ら率先してやるようになったのです。

 そんな店長の姿を見て、スタッフたちは手伝ってくれるようになりました。店長が部下と一緒に作業することで、自然と会話も生まれました。

 彼はそれ以来スタッフとのコミュニケーションのコツをつかめるようになり、結果としてお店の雰囲気もとてもよくなりました。

 部下の目線まで下りたことが、彼が変わったきっかけだと思います。

 自分は階段の上にいて、下にいるスタッフを見下ろして「ここまで上がってこい」と指示するのがリーダーではありません。

 それで実際に上がってこられるのは優秀な人だけ。優秀ではない人は、そんな指示だけでは上がってこられません。

リーダー自らが下の段まで下りていくしかないのです。そして部下と一緒になって、一段目から上がっていく。そうすることでスタッフを引っ張り上げることができます。

 リーダーが自分たちの目線に下がってきてくれれば、スタッフは親しみを覚え、リーダーとしての求心力が生まれます。

 また下のレベルの人が仕事の基本を身につけてくれるようになるので、全体の底上げにもつながります。